一度OKした仕事を2日前にドタキャン…契約書なしに違約金は請求できない?

格闘家の角田信朗さんが、自身のブログで突如ダウンタウンの松本人志さんから共演NGとされていることを告白し、騒動になりました。

これを受けた松本人志さんは『ワイドナショー』内で角田さんが8年前に番組出演のオファーを受けたにもかかわらず収録2日前に「ドタキャン」したことで撮影が不可能になったことがNG理由と反論。

それまで被害者のような発言をしていた角田氏でしたが、放送を受けたブログでは事実を認め全面謝罪。一連の行動に批判が集まっています。

収録2日前で代替出演者も立てず予定をキャンセルすることは、本来なら違約金が発生してもいいレベルのように思えます。詳細はハッキリしないところもありますが、当時は違約金をとることはできなかった模様。おそらく契約書が存在していなかったのでしょう。

しかし、角田さんがドタキャンしたことによって出演芸能人のスケジュールを変更するなどかなりの影響が出たようですから、賠償金などが発生してもいいように思えます。

契約書が存在していないと、大損害を被ったドタキャンでも違約金をとることができないのでしょうか? 諏訪坂法律事務所の多田幸生弁護士にご意見を伺いました。

 

Q.契約書が存在していないと急なドタキャンでも違約金はとれない?

*画像はイメージです:https://pixta.jp/

 

A.違約金ではなく損害賠償を請求できる可能性があります。

「俗に“違約金”といったら、例えば契約書に次のような条項がある場合の違約金のことですよね。

第●条(違約金)

乙が本契約上の義務に違反した場合、甲に対し違約金として金●円を支払う。

ですが、このような違約金の定めがなくても、損害賠償を請求できる可能性はあります。まず、契約は、契約書を交わしていなくても、口頭の約束があれば成立します。

なので、あなたと相手の間に契約が成立しているのであれば、相手は仕事をドタキャンして、請負契約上の義務を怠っているわけですから、債務不履行を理由とする損害賠償を請求できます。

例えば、代わりに仕事をしてくれる人を探すために余計な費用が掛かったということであれば、その費用について、損害賠償請求できます。

ただし、色々な理由により、“実はまだ契約が成立していなかった”ということもありえます。一番ありそうなのは、“まだ代金額を決めていなかったので、契約は成立していなかった”というパターンでしょう。このような場合でも、あきらめる必要はありません。

あなたと相手は、契約締結直前のかなり緊密な関係にあり、相手はあなたに不測の損害を与えないようにするべき立場にあったのですから、にもかかわらずドタキャンした相手には“契約締結上の過失”があった、ということで、やはり損害賠償を請求できる可能性があります」(多田弁護士)

やはり一度請けた仕事を断るということは、大変なリスクを伴うようですね。

 

*取材協力弁護士:多田幸生(諏訪坂法律事務所。会社法務・企業法務の豊富な経験があり、大手証券会社の法務職としての経歴を活かし、「守りの法務」だけでなく「攻めの法務」を提供。)

*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)

【画像】イメージです

*Good morning / PIXTA(ピクスタ)

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