ある大手企業が社員の喫煙について「社員間のプライベートな懇親会であっても喫煙を禁止」したとして話題を呼んでいます。
もちろん、社員にいつまでも健康でいてもらうためにはタバコは吸わない方が良いかもしれません。しかし、会社が社員のプライベートにまで踏み込んでこのような規制を行うことは法律上問題ないのでしょうか?
Q.プライベートもタバコNGという会社のルールは許されるの?
A.就業時間外の社員の嗜好について会社はとやかく言える立場ではないため、このようなルールは完全に無効です。
会社と従業員は「雇用契約」を結んでいる関係に過ぎません。
これはつまり従業員が労働サービスを提供する代わりに、会社は賃金を払う、という契約です。会社の中では多くの従業員が勤務しているため、一定の秩序を維持する上でも「就業規則」などで社内のルールを定めることは可能ですが、就業時間が終わり、一歩会社の外に出れば、会社とは関係のない1人の人間としてプライベートな時間を過ごすことになります。
そのため、就業時間外の喫煙を禁じると言った、就業時間外の行動について会社からとやかく言われる根拠は何もないのです。
会社には社員の個人的な嗜好(今回のケースであれば「喫煙」)を禁じる権利はないため、よって労働者側としてはこのような会社の一方的なルールに従う義務は一切ないのだ、ということができます。
*取材・文:ライター 松永大輝(個人事務所Ad Libitum代表。早稲田大学教育学部卒。在学中に社労士試験に合格し、大手社労士法人に新卒入社。上場企業からベンチャー企業まで約10社ほどの顧問先を担当。その後、IT系のベンチャー企業にて、採用・労務など人事業務全般を担当。並行して、大手通信教育学校の社労士講座講師として講義サポートやテキスト執筆・校正などにも従事。現在は保有資格(社会保険労務士、AFP、産業カウンセラー)を活かしフリーランスの人事として複数の企業様のサポートをする傍ら、講師、Webライターなど幅広く活動中。
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