今年もボーナスの時期が到来しました。経団連の調査によると、今冬のボーナス平均額は大手企業では92万7892円と前年より増えた一方で、中小企業では63万5215円と減額となりました。
ボーナスの金額は企業によって違いますし、多くの企業では社員それぞれの勤務態度や成果を査定し金額を決めています。このボーナス額が、有給休暇を取得したことで減額されたというケースがあるようです。これは法的には許されるのでしょうか?
Q.有給取得でボーナス減額はあり?
(1)あり
(2)なし
A.(2)なし
有給休暇は労働基準法第39条によって労働者に与えることが義務付けられているものです。
また、労働基準法第136条では「有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない」と定められていますので、有給を理由にしてボーナスを減額することは不当です。
有給取得日を欠勤日として扱いボーナスを減額した会社を社員が訴え、社員への減額分の支払いが認められた判例もあります(エス・ウント・エー事件)。
しかし、ボーナスは労働基準法に定められた支払いではありません。ボーナスを払うかどうか、またその金額については、会社が自由に決めることができるのです(もっとも、就業規則において賞与についての規定があれば支給義務が生じます)。
なので、ボーナスの減額が有給取得を理由としたものだという証拠がない限り、不当性を訴えることは難しいかもしれません。まずはボーナスが減額された理由を明らかにすることが必要だと考えられます。
*記事監修弁護士:大窪和久(桜丘法律事務所所属。2003年に弁護士登録を行い、桜丘法律事務所で研鑽をした後、11年間、いわゆる弁護士過疎地域とよばれる場所で仕事を継続。地方では特に離婚、婚約破棄、不倫等の案件を多く取り扱ってきた。これまでの経験を活かし、スムーズで有利な解決を目指す。
*取材・文:フリーライター 岡本まーこ(大学卒業後、様々なアルバイトを経てフリーライターに。裁判傍聴にハマり裁判所に通っていた経験がある。「法廷ライターまーこと裁判所へ行こう!」(エンターブレイン)、「法廷ライターまーこは見た!漫画裁判傍聴記」(かもがわ出版)。)
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