11月に入り、賃金の下落に合わせて年金支給額を引き下げるルールを新設した「年金制度改革関連法案」が、衆議院で本格論議に入ります。
この法案は、反対の立場からは「年金カット法案」や「年金引き下げ法案」などとも呼ばれ、これまでも予算委員会などで取り上げられてきました。ですが今回は、与野党でさらに熱い論議が交わされる見通しです。現在の受給者はもとより、将来の受給者を拘束することになる極めて重要なこの法案、賛否の分かれ目はどこにあるのでしょうか。
■今回の法案は年金制度を継続させることが主目的
法案の正式名称は「公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案」。まさに、この法案への立法者の意図がストレートに表れているといえます。法案の骨子としては、以下の内容などが挙げられています。
(1)パートタイマーへの被用者保険の適用拡大
(2)自営業者・無職・学生など「第1号被保険者」の産前産後期間の保険料の免除
(3)公的年金制度の持続可能性を高め、将来世代の給付水準を確保するための年金額改定ルールの変更
①年金の名目額が前年度を下回らない措置を維持しつつ、賃金・物価上昇の範囲内で前年度までの未調整分を含めて調整。
②賃金変動が物価変動を下回る場合に賃金変動に合わせて年金額を改定する考え方を徹底
(4)年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の組織等の見直しを通して、より確実な年金積立金の運用を図る
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