最近はビジネス・シーンでも「ワーク・ライフ・バランス」という言葉を頻繁に目にするようになってきており、つい先日も「Yahoo! Japan」を運営するヤフー株式会社が週休3日制の導入を検討しているということがニュースで報じられました。
少子化対策や、晩婚化対策といった社会問題を解決する上でも、日本社会におけるワーク・ライフ・バランスを是正は喫緊の課題となっています。また、休暇に関する法制度改正によって、経済を活性化させようという動きもあります。
こうした休暇と労働時間の問題から、日本は欧米先進国と比較して休みが少ないという印象があります。しかし、日本貿易振興機構が発表した世界の祝日日数を比較した調査(2015年度版)では、日本の祝日は15日(2016年度からは山の日を入れて16日)となっており調査対象の世界53カ国中11番目に祝日が多い国だということがわかっています。
一方で、有給休暇の消化率が悪いということも調査からわかっており、ワーク・ライフ・バランスの実現のために全国で一律に休暇を取るといった制度だけで対応するには限界があると考えられます。
これらワーク・ライフ・バランスの是正と労働問題について法律の専門家はどう捉えているのでしょう。労働問題に詳しい星野法律事務所の星野宏明弁護士に伺いました。
■法改正前に整理すべきなのは人員配置と業務効率化
ワーク・ライフ・バランスの是正のため、国会で休暇制度に関する様々な法改正が検討されていますが、こうした制度を活かすために企業が事前に取り組まなければいけない労働問題等はありますか?
「法律上の制度として新たな休暇制度を企業に義務付けるのであれば、その履行が確保されてはじめて効果があるということを理解しておかなければいけません。ただし、現状の長時間労働の実体をみると、ダラダラ残業している人ばかりではなく、業務が多く、あるいは人員不足で残業せざるを得ない人も多くいます。
結局、現実に休暇をとっても企業の経済活動に影響がない状況を実現しないと、制度だけ導入しても定着せず、絵に描いた餅となってしまうおそれがあります。したがって、こうした制度を現実的に有益なものにしていくためには、人員の適正配置や業務の効率化の見直しなど、普遍的な問題を再確認する必要があると考えられます。」(星野弁護士)
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