レオパレス21の違法建築問題…不備物件での騒音に対して損害賠償請求は可能?

5月29日、不動産賃貸業者のレオパレス21が施工を担当した物件について「建築基準法に違反している物件があった」と発表。利用する借主・貸主に衝撃が走りました。

同社によると界壁と呼ばれる部材が未設置または基準を下回る長さの物件があったとのことで、発表時点で290棟のうち、38棟で界壁がないなどの不備があったと報じられています。

 

■「界壁」は防音にも影響が

この「界壁」は、火災時の延焼防止などの観点から建築基準法で屋根裏まで設置するよう義務付けられているもの。また、防音性能にも影響を及ぼすと考えられています。

物件の居住者にとって生活音の漏れは気になるもので、人によっては気を取られ、精神に異常をきたしてしまうことも。大抵不動産会社は「音に問題がある」とはいいませんので、そんな物件に入居するハメになれば、「騙された」と思ってしまうことでしょう。

今回の界壁不正物件に居住し、騒音に悩まされていた場合、レオパレス側に損害賠償などを請求したくなるもの。そのようなことは可能なのか、星野・長塚・木川法律事務所の星野宏明弁護士にお話を伺いました。

 

■損害賠償を請求することはできる?

星野弁護士:「行政法規である建築基準法に違反しても、ただちに民法上の不法行為に基づく慰謝料が発生するとはいえません。建築基準法に違反したことと、壁が薄くなり騒音が発生したこと、さらに騒音が受忍限度を超える結果にまで至っている場合には慰謝料が発生する可能性はあります。

ただし、生活騒音自体は基本的に建築基準法違反があってもなくてもある程度は発生するものであり、レオパレス物件の性質上ある程度の騒音は予想可能でその上で入居しているので、建築基準法違反と受忍限度を超える生活騒音を招いた結果の法的な因果関係が証拠上認められるか、がポイントとなると思います。

建築基準法違反による慰謝料を請求できる可能性はありますが、実際の裁判では難しい立証が求められます。」

 

限度を超える騒音に悩まされていることが立証される場合は慰謝料請求は可能ですが、難しい立証を求められる可能性が高いとのこと。

実際のところ請求するか否かは個人の判断ですが、訴えを起こしたい場合は「立証」できるような証拠集めから始めたほうが良さそうですね。

*取材協力弁護士:星野宏明(星野・長塚・木川法律事務所(旧星野法律事務所)。不貞による慰謝料請求、外国人の離婚事件、国際案件、中国法務、中小企業の法律相談、ペット訴訟等が専門。)

*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)

*画像はイメージです(pixta)

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