長浜市民が不倫疑惑の市長に損害賠償請求…市民の主張は認められる?

今年3月、滋賀県長浜市の市長(68)が、40代人妻女性と不倫していると週刊誌が報道。女性が市長のマンションを訪れる画像などが掲載され、「早朝まで帰ってこなかった」などと報じられました。

さらに愛人女性は特に実績がないにもかかわらず、市長のはからいで第3セクターが運営する飲食店の責任者に抜擢されていたという報道も。

このほかにも別の女性に対するセクハラ疑惑などが浮上しており、市長の呆れた性癖に市民を中心に怒りの声が広がっています。

 

■市民が市長に損害賠償請求

市長はこの報道後、市議会で真偽を問われますが、「事実無根・事実誤認」と述べるにとどまり、事実関係について明確な説明をしていません。

しびれを切らした長浜市民と市議会議員の一部は5月30日、「市長のスキャンダルにより精神的苦痛を受けた」として市長に損害賠償請求を起こしています。

このような行動は異例ですが、可能ならば自分の市区町村でも行いたいと思うもの。法的に見て、このような請求は妥当なのでしょうか?

銀座さいとう法律事務所齋藤健博弁護士にお聞きしました。

 

■全てが認容されることは難しい

齋藤弁護士:「法的に妥当かどうかの問いに答えるには、解決しなければならない問題が多い訴訟になりますね。まず、説明義務違反と、慰謝料請求の根拠となりえる精神的損害との因果関係は大いに争われてしまうでしょう。

また、集団提訴といっても、ひとりひとりの置かれた状態が異なりますから、全部が認容されることは考えにくいです。慰謝料請求でなくても、住民訴訟などの手段を適切に使うことで同じ問題を争点にすることはありえます。

住民訴訟とは、地方自治法242条の2に定められている訴訟の分類になります。これは、客観訴訟のうちでも民衆訴訟に数えられるものです。要は、慰謝料などの個人の問題ではなく、公共財産を適切に利用していたのかどうかを判断するものになります。」

 

■住民監査請求をする可能性も

齋藤弁護士:「実は、住民訴訟を適法に提起するには、住民監査請求をした住民が、その監査結果、勧告、措置等に対して不服がある場合、裁判所に対する訴えをもって請求することができると規定しています。

これは、監査請求前置主義といいます。ですから、いきなり訴訟とはいきませんが、住民監査請求を行うことで、どのような使途でお金が使われたものであるかを問題とすることができる余地があるでしょう。

ちなみに、監査請求は、住民が、自らの居住する地方公共団体の違法若しくは不当な財務会計上の行為があると認められる場合、その地方公共団体の監査委員に対し監査を求め、その行為に対し必要な措置を講ずべきことを請求することができる制度です。

本件のように、不貞交際を行政財産で継続しておこなった疑惑がある場合には、財務会計がどのようになされていたかを明らかにしていくことで、問題とすることはできるでしょう。」

 

昨今、県知事や市区町村長など、政治家による政治資金の流用やセクハラ・不倫・パワハラ問題は多々発生しています。そのような場合、税金を納付する県民・市区町村民が納得できないのは当然のこと。

長浜市のような「損害賠償請求」が認められるの否か、注目されるところです。

 

*取材協力弁護士: 銀座さいとう法律事務所 齋藤健博弁護士(弁護士登録以降、某大手弁護士検索サイトで1位を獲得。LINEでも連絡がとれる、超迅速弁護士としてさまざまな相談に対応。特に離婚・男女問題には解決に定評。今日も多くの依頼者の相談に多く乗っている。弁護士業務とは別の顔として、慶應義塾大学において助教も勤める。)

*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)

*画像はイメージです(pixta)

齋藤健博 さいとうたけひろ

銀座さいとう法律事務所

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