【弁護士監修】漫画村がついに閉鎖? その違法性について検証してみた

漫画村は違法ではないの?

漫画村は、日本国内の漫画が不正にアップロードされていたサイト。漫画の作者や販売会社がその著作権を違法に侵害されたものと主張していました。

日本国内で公開・販売されている漫画は著作物に該当するため、著作権法に基づく保護を受けます。作者が漫画村のようなサイトに掲載することを許可している場合は別ですが、していない場合は著作権侵害になりえるのです。

サイト運営者が特定できた場合、実はその責任は重くその人物は最高で10年以下の懲役または1000万円以下の罰金が課せられることになります。また、それが法人の場合は3億円以下の罰金もありえます。あまりにも著作権者の利益を侵害する行為態様で、実際の損害が大きい場合には、かなり重い処分も想定されます。

また、このほかに損害賠償請求を受ける可能性もあります。いずれにしても、漫画村は違法である可能性が極めて高く、その存在が疑問視され続けてきました。

 

なぜ存続していたのか?

違法性が指摘されてきた漫画村がなぜ存続していたのか。その理由は運営者が海外にサーバーを置いていることを理由に、「日本の法律適用範囲外」と主張していたことにあります。これは国際私法のという領域の問題なのですが、要は、日本の法律が適用されずに済むのだ、という主張です。

また、漫画村は違法性の指摘について「漫画村自身は違法アップロードしているわけではなく、ウェブ上に存在している画像データを参照しているだけだから違法性はない」としてきました。

そうすると、実際に著作権を侵害されたことが明白であるにもかかわらず、作者は訴えようにも運営者の実態がつかめないこと、費用がかかることなどから泣き寝入り状態となっていたようです。

ただし漫画作者もこの状況に辟易としており、「サイトをブロックできないか」と国内プロバイダに要請する準備していたと報じられています。

 

違法であることには変わりなし

サーバーが海外にあったとしても、日本の著作物を違法にアップロードしている行為は明らかに違法。そして、「画像データを参照しているだけ」という主張についても、許諾なく著作権が認められる以下の三要素を満たしているとは思えません。

公表された著作物であること

公正な慣行に合致すること

目的が正当な範囲にあること

 しかも、「参照」というのであれば、著作権法上要求される引用の要件を検討する必要もありましょう。しかし、下記の要件も満たしていないものと思われます。

引用された部分が明確であること(明瞭区別性)

引用する側が「主」で,引用される側が「従」といえる関係にあること(主従関係性)

したがって、漫画村の存在は、すべてが「違法」である可能性が極めて高いと言えます。

漫画村が本当に閉鎖されたのかどうかについては今後の推移を見守る必要がありますが、作者と運営会社に多大な損害を与えたのは事実といわざるをえません。まずは、運営者を特定したうえで、日本のクリエイターの利益を保護すべく、法的措置が講じられることもひとつの解決方法なのではないでしょうか。

 

*弁護士監修/ 銀座さいとう法律事務所 齋藤健博弁護士(弁護士登録以降、某大手弁護士検索サイトで1位を獲得。LINEでも連絡がとれる、超迅速弁護士としてさまざまな相談に対応。特に離婚・男女問題には解決に定評。今日も多くの依頼者の相談に多く乗っている。弁護士業務とは別の顔として、慶應義塾大学において助教も勤める。)

*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています

齋藤健博 さいとうたけひろ

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