「今日は飲み会があるから、車じゃなくて自転車にしよう!」と、自転車を利用する人もいるでしょう。しかし、自転車も、お酒を飲んだ状態で乗れば れっきとした『飲酒運転』になるのをご存知ですか?
自動車ほどではないですが、自転車も歩行に比較すれば当然スピードがでる乗り物。酔っている状態で乗ると大変危険です。自身が転倒したりするリスクはもちろん、通行人を引いてしまったり、自転車同士でぶつかったりすれば、周囲の人も巻き込む事故になりかねません。また、あえて、すなわち故意によらなくても、誤って他人に損害を与えてしまったなら、損害賠償義務の対象となります。
道路交通法第65条1項は以下のように定めています。
何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。
(引用元:houco.com)
ここで問題となるのは、酒気を帯びて、とはどの程度のことをいうのか、車両等には、どのような車両が含まれるのか、これらの解釈でしょう。
実は、自転車も車や原付と同様に『車両』とされているのです。そのうえで、自動車と自転車のいわば攻撃力の違いのようなものが、飲酒の程度に対する規制として表れています。
自動車の場合飲酒運転には酒気帯び運転違反(呼気1リットルあたり0.15mg以上もしくは血液1ミリリットルあたり0.3mg以上を含んだ状態での運転)と、酒酔い運転違反(アルコールの検出量は関係なく、酔っ払って正常な運転ができない状態での運転)の2種類がありますが、自転車の場合は『酒酔い運転違反』のみが適用されます。
そうすると、自転車の飲酒運転をすると、『酒酔い運転違反』とされ、5年以下の懲役または100万円以下の罰金と、自動車と同様の罪に課されてしまうおそれがあるのです。もちろん、情状といって、『初犯なのか』、『飲酒にいたった経緯』、『注意義務はどの程度果たしていたか』など、いろんな要素は考慮されるでしょう。しかし、実際に飲酒運転をした人だけでなく、その人にお酒を提供した人やお店も同等の罪に科されるおそれがあるので、油断は禁物です。
自転車は自動車よりも気軽に乗れるものです。だからといって、安全な乗り物というわけではありません。『飲んだら乗るな』この言葉を肝に命じて、お酒を飲んだ帰りには歩いて帰ったり、タクシーで帰ったりするなどが無難でしょう。
*弁護士監修/ 銀座さいとう法律事務所 齋藤健博弁護士(弁護士登録以降、某大手弁護士検索サイトで1位を獲得。
*取材・執筆/アシロ編集部
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