高度プロフェッショナル制度について弁護士に聞いてみた!

安倍首相の働き改革が進められ、最近では、裁量労働制の拡大の法案について話題となりましたね。働き方改革にはさまざまな法案があり、裁量労働制とはまた別で話題となっているのが『高度プロフェッショナル制度』。今回はその『高度プロフェッショナル制度』について虎ノ門法律経済事務所 池袋支店 齋藤健博弁護士に意見を伺いました。

 

■『高度プロフェッショナル制度』とは

簡単に言えば、「高給取りは残業代を支払わない」という制度。『残業代ゼロ法案』とも揶揄されています。

一般の労働者の労働時間は1日8時間、週40時間以内と決められており、それを超えた場合は会社などの雇用主は規定の割り増しをした残業代を支払わなければいけないとされています。しかしこの『高度プロフェッショナル制度』は年収が1,075万円以上の専門職(証券の取引をするディーラーや、商品を開発する研究員、事業を提案したり助言したりするコンサルタントなど)の高所得の労働者はこの法定労働時間の縛りをなくし、別途残業代は支払わない、というものです。

 

なぜこのような制度が作られるのか。政府は「働いた時間ではなく、成果を評価し、報酬を決める。それによって、労働者の人口が減っても国際競争に勝てるようにする。」と述べています。

残業代ゼロ法案と言われていますが、残業代が出ない分、逆に短い労働時間でも成果を出せば時間分の減給はされない、と言うことでもあります。

しかし、この制度が施行されたら、高所得の労働者にたくさんの業務を課せ、たくさんサービス残業させるなんてこともできてしまうかもしれません。これが今話題になっている要因です。

この制度の対象者の健康確保として提案されているのが年間休日日数は104日にする、ということ。この104日、一見多いように思えますが、単なる『完全週休二日』です。あくまでこれは案の1つですので、実際にはどうなるかはまだわかりません。

 

■齋藤弁護士の見解

弁護士として労働問題(主に残業代請求や賃金請求)を扱っていると、ひとつの特徴が浮き彫りになります。それは、賃金とは、労働『時間』に対する対価であって、実は具体的な成果は問われていないこと、です。具体的には、雇用契約は、成果物の完成を要求していません。これが請負契約(大工さんなど)との違いなのです。また、専門職は通常、委任契約を締結し、使用者の指揮命令には服しない(弁護士は委任契約・医療契約は準委任契約)のが特徴です。

今回の『高度プロフェッショナル制度』は、雇用契約が委任契約化していく現象のひとつになるでしょう。また、成果を要求する点では、請負契約にも準じているともいえましょう。

労働者にとってのメリットは、自身の労働の成果を正当に評価してもらえるチャンスが拡大すると思われます。というのは、一人ひとりの労働内容にスポットが当たる制度設計になりますから、一労働者とは異なりますね。

逆に言うと、確実にもらえたはずの賃金を確保できない可能性が拡大してしまうことです。また、成果が上がらない場合には、高プロ制度を採用している企業であることを建前にして、賃金値上げ交渉などの団体交渉は円滑に行いにくい方向に働くでしょう。

 

*執筆・弁護士監修/ 虎ノ門法律経済事務所 池袋支店 齋藤健博弁護士(弁護士登録以降、某大手弁護士検索サイトで1位を獲得。LINEでも連絡がとれる、超迅速弁護士としてさまざまな相談に対応。特に離婚・男女問題には解決に定評。今日も多くの依頼者の相談に多く乗っている。弁護士業務とは別の顔として、慶應義塾大学において助教も勤める。)

 

*取材・執筆/アシロ編集部

 

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