結婚してから子供ができないことが判明したら離婚できる!?

恋人と順調に愛を育み、見事ゴールイン!

そんなとき誰もがパートナーとの幸せなビジョンを膨らませるでしょう。そのビジョンの中に夫婦2人の子供がいる、という方が多いですよね。男女ともに「結婚したら絶対に子供が欲しい!」と願う人は少なくないでしょう。

では、もし結婚相手が『生殖機能がない』つまり『子供を作れない』人だったら…。

 

「2人の愛は、そんなことでは変わらない!」と思っていても、子供との幸せな家庭を夢見ていたとしたら、その夢を捨てることもできない…という方もいらっしゃるでしょう。

『結婚相手に生殖機能がないと結婚後に発覚した場合、離婚できるのか』『離婚を求められても回避できるのか?』という内容について言及していきます。

 

■生殖機能がないと婚姻前に本人が知っていたにもかかわらずそれを隠して結婚した場合

 

◆離婚事由にあたるのか

結論から言うと、離婚事由にあたります。

この場合結婚詐欺だ!とか、だまされた!とか言いたくなりますよね。でも、まずは冷静に。離婚のルールを確認していきましょう。民法770条で離婚原因について以下のように定めています。

第770条

  1. 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

一 配偶者不貞な行為があったとき。

二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。

三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。

四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。

五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

 

  1. 裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。

(引用元:houco.com)

 

こうしてみてみると、たしかに、生殖能力に関しては何も法律には書いていないようにみえます。しかし、『第5号 その他婚姻を継続しがたい重大な事由』にあたると解釈できます。

離婚したい場合にはこれでよいのですが、離婚したくない場合には、たとえば生殖能力改善の努力をしていることを示したり、治療が成功しそうなことを主張していくことになるでしょう。

 

◆慰謝料請求は可能か

秘匿した事実があるのであれば、離婚に伴う慰謝料請求は可能でしょう。しかし、どんな証拠があるのかが問題になります。

わざわざ、「僕には私には生殖能力があるよ」と確認しながら、お付き合いするなんて興ざめでしょう。しかし、有力な手がかりとしては、交際中のラインなどが視野に入ります。

 

■婚姻後に生殖機能がないと本人が知った場合

◆離婚事由になるのか

離婚事由になりえます。

 

この場合は、だまされた場合よりはセンシティブな問題になるでしょう。しかし、生殖能力は、家族関係を円満に形成していくうえで重要な問題です。

代理出産などは、まだまだ発展途上にあるといわざるをえません。離婚原因になりえます。『第5号 その他婚姻を継続しがたい重大な事由』にあたると考えられます。

 

◆慰謝料は取れるのか

ケースバイケースです。

生殖能力がない、とは、本人の責任によって生じものなのか、因果関係がはっきりしません。というのは、慰謝料請求の根拠となるのは、民法709条に定める不法行為責任です。不法行為責任の成立には、故意・過失が必要とされています。

生殖能力不能であることに対して、故意や過失があるのかと問われると、難しいですね。

 

■「俺には私には、生殖能力がないから離婚して。」と言われたら、慰謝料請求できる?

◆生殖機能が不能であると隠していた場合

慰謝料請求できる可能性が高いでしょう。

生殖能力に関して隠しておきながら、都合よく、離婚請求をするのであれば、家庭ではセックスレスかもしれませんし、請求する側に別の異性関係が生じているのかもしれません。生殖能力がなくても、不貞行為は考えられます。不貞行為があれば、さきほど見た、民法770条1項1号に該当しますね。

 

◆生殖機能が不能であると婚姻後に発覚した場合

慰謝料請求できる可能性はまだあります。

そもそも、慰謝料請求の根拠は、生殖能力不能だけに限定されることはありません。

たとえば、離婚の条件を話し合っているときに、暴力的なことがあったとか、不貞があったですとか。一つひとつの事実関係を明らかにしていくうえで、慰謝料請求の根拠である、民法709条・710条に定める不法行為責任が成立する可能性があります。慰謝料請求できる可能性はありますから、まだ、あきらめないでください。

 

*執筆/ 銀座さいとう法律事務所 齋藤健博弁護士(弁護士登録以降、某大手弁護士検索サイトで1位を獲得。LINEでも連絡がとれる、超迅速弁護士としてさまざまな相談に対応。特に離婚・男女問題には解決に定評。今日も多くの依頼者の相談に多く乗っている。弁護士業務とは別の顔として、慶應義塾大学において助教も勤める。)

*編集/アシロ編集部

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