全国的に寒い日が続いていますが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。家にいるときは、暖房を設定している人が多いことと思います。
最低気温が氷点下にも達することがある時期は、暖房使用は命を守ることにも繋がるだけに、電気代がかさむことがわかっていても、使用せざるを得ないかと思います。
また、オフィスでは、社員に気持ち良く働いてもらうため、暖房を適切に使用するのが当たり前。しかし、一部には電気代をケチるため、暖房使用を制限する会社があると聞きます。
「暖房を使うな」「寒さ対策を自分でしてこい」という、ケースもあるそう。このような場合、法律違反にならないのでしょうか?
ピープルズ法律事務所の森川文人弁護士に見解をお伺いしました。
Q.会社が暖房使用を制限…法律違反になりませんか?
A.法律違反になる可能性があります。
「労働安全衛生法という法律があります。その法律に基づく基準規則として事務所衛生基準規則というのがあります。
その4条に
事業者は、室の気温が十度以下の場合は、暖房する等適当な温度調節の措置を講じなければならない。
2 事業者は、室を冷房する場合は、当該室の気温を外気温より著しく低くしてはならない。ただし、電子計算機等を設置する室において、その作業者に保温のための衣類等を着用させた場合は、この限りでない。
3 事業者は、空気調和設備を設けている場合は、室の気温が十七度以上二十八度以下及び相対湿度が四十パーセント以上七十パーセント以下になるように努めなければならない。
などと規程されています。3に関しては努力義務ですが、安全配慮義務(労働契約法5条)という観点から見て、法律・規則に違反しているという指摘はできると思います」(森川弁護士)
電気代を節約したい気持ちはわかりますが、その前に経営者には安全配慮義務があります。すべてを管理監督する立場として、社員の「安全」にも気を配ってください。
また、社長が暖房使用を許さないという場合は、法律違反になりますので、然るべきところに出ることを検討してみましょう。
*取材協力弁護士:森川文人(ピープルズ法律事務所。弁護士歴25年。いわゆる街弁として幅広く業務を経験。離婚、遺産相続をはじめ、不動産、 慰謝料・損害賠償請求、近隣トラブル、借地借家、賃金、インターネット問題、知的財産権などを扱う。)
*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)
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