昨今は人手不足の影響で、アルバイトの賃金が上昇傾向。人材の確保が難しくなっており、時給を上げることで、人を集めようという狙いがあるようです。
一方、正社員は会社の業績によるところが大きく、賃金が上がっている人もいれば、いつまで経っても変化がない人も多いようです。
業績が悪い場合は割り切ることもできますが、会社が儲かっているにもかかわらず賃金を上げないのは、労働者としては納得できないもの。このような場合、不当性を訴えることはできないのでしょうか。
法律事務所あすかの冨本和男弁護士に見解をお伺いしました。
Q.業績が良いのに、賃上げをまったくしない……どうにかできない?
A.個人では難しく、団体交渉で求めていく必要がある
「結論からいうと、労働者個人が不当性を訴えることは難しく、労働組合の一員として団体交渉を行い、団体交渉によって労働条件の改善を求めていく必要があるかと考えます。
そもそも、労働者の賃金は、最低賃金法に違反してはいけないという制約はありますが、労働者と使用者との間の労働契約や就業規則によって決まります。
したがって、使用者としては、最低賃金法・労働契約・就業規則に違反しない限り、必ずしも賃金を上げる必要がないわけです。
労働者が使用者に賃上げを求めたとしても、“お願い”以上の意味を持たないわけです。もっとも、労働者は、団結して労働組合を結成し、労働組合を通じた団体交渉によって労働条件の維持・改善を求めることができます。
労働組合と使用者との交渉の結果得られた合意を“労働協約”といいますが、労働協約で合意された労働条件は労働契約の内容に取って代わります。
使用者としては、労働協約によって賃上げを合意した場合、賃上げする必要があるわけです」(冨本弁護士)
「真面目にやっているのに給料が上がらない」のは非常に納得のいかないことですが、個人レベルでは、如何ともしがたいものがあるようです。
納得がいない場合は、団体交渉の道を模索してみましょう。
*取材協力弁護士:冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー。)
*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)
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