開錠業者による詐欺が増加…被害に遭わないためには?

*画像はイメージです:https://pixta.jp/

昨今、一部の開錠業者による詐欺事件が頻発しています。多くの業者ではそのようなことはないでしょうが、報告されている詐欺の手口の典型例は、HPなどに掲載されている料金を見て電話すると、実際に派遣された作業員から「この鍵を開けるためには追加料金が必要」「出張費が別途かかる」などと説明され、10倍近い値段を請求されるというものです。

キッパリと「そんな金額は払えない」というべきですが、一刻も早く解錠したいという感情があることや、「支払いを拒否するなら警察を呼ぶ」などと脅されることで、お金を支払ってしまうようです。

このような事件は増加傾向にあり、報道によると2014年度に100件程度だった相談件数が、2016年度には300件弱まで増加しているようです。

被害に遭わないためにはどうしたら良いのか。また、実際に詐欺業者に直面した場合どのような対応を取るべきなのか。星野・長塚・木川法律事務所の木川雅博弁護士に解説していただきました。

 

■費用明細・請求書の交付を求めて毅然とした対応を

「ウェブサイトや事前に口頭で伝えられた金額よりも高額を請求されても、実際に作業してもらってしまっているし、早く家に入りたいし等の理由があったり、“ディンプルキーで開錠に手間がかかったため”、“深夜割増料金を加算したため”などと一応説明されたりすると、不本意ながらも支払ってしまうことがあり得ます。

しかし、鍵のトラブルに限らず詐欺的商法すべてに共通するのですが、本当に詐欺である場合、一度お金を支払ってしまったらそのお金は取り戻せないと考えたほうがいいでしょう。

請求金額が事前の説明と異なる場合、まずはウェブサイトの料金表を示す、電話口で伝えられた金額を作業員に言い、費用明細や請求書を交付するよう求めるなどするとよいでしょう。

インターネット上では、“依頼する前に複数の業者を比較したほうがよい”、“開錠業者の仲介業者を選ばないようにする”、“一人ではなく誰かに立ち会ってもらうようにする”などの対策方法が示されており、これらも有効な手段の一つだと思います。

ただ、鍵を紛失して家に入りたい状況の場合、近くにホテルや知人の家もなく、時間も遅くて管理会社にも連絡がつかない場合が多いでしょうから、誰かに立ち合いを依頼したり、その時間に来てくれる業者をゆっくり探したりする暇がないかもしれません。

このように誰にも頼れない状況のとき(そして、ホテルに泊まるのではなくどうしても家に入りたいとき)は、毅然と費用明細や請求書の交付を求め、事前の説明と異なる金額の支払いを拒むしかないでしょう。

開錠業者は“支払わないなら警察を呼ぶぞ!”と言ってくるかもしれませんが、その場合は、はっきりと事前に受けた説明と異なる不当請求であることを説明し、民事上の問題であるとして警察官にはお引き取りいただくほかありませんね」(木川弁護士)

 

■開錠費用の相場とは

「ウェブサイトでは費用が数千円程度とうたっている業者もあるようですが、実際に人を派遣し、しかも時間が深夜であった場合には作業員にも割増手当が払われるわけですから、数千円程度では済まないと考えなければなりませんね。

価格競争ですし、錠の複雑さにもよりますので、正当な相場がいくらかとは一概に言えませんが、たとえば建物明渡しの強制執行では少なくとも2~3万円程度の開錠業者費用がかかります。

ですから、数千円程度の費用と謳う業者に依頼する場合にはよくサイトを確認し、追加費用がいくらかかるのかを確かめておくべきでしょうね。

どうしても家に入らなければならないという弱みに付け込み、高額な費用を請求する業者には腹が立つでしょうが、消費者庁や消費生活センターに苦情を入れてもお金が戻ってくるわけではありません。

開錠業者に依頼せざるを得ない状況になった場合、安い業者に飛びつかず可能な限り信頼できそうな業者を探すことに加え、不当請求を受けたときには毅然とした対応を取るという自衛手段を講じなければなりませんね」(木川弁護士)

 

人の弱みにつけ込む詐欺業者がいることは残念ですが、そのような企業がある以上、自己防衛をせねばなりません。追加料金を請求された場合は支払いを拒むなど、毅然とした態度をとるようにしましょう。

 

*取材協力弁護士:木川雅博 (星野・長塚・木川法律事務所。通信会社法務・安全衛生部門勤務を経て、星野・長塚・木川法律事務所に所属。破産・再生・債務整理を得意とする。趣味は料理、ランニング)

*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中

【画像】イメージです

*dorry / PIXTA(ピクスタ)

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