先日、Twitter上で老人に痴漢された女性が老人に回し蹴りをしたことがツイートされ、賛否両論となりました。「痴漢なのだから致し方ない」という声や「過剰防衛なのではないか」という声があがっているようです。
このような行為は正当防衛として認められるのか。そして、正当防衛と過剰防衛の違いは、どこにあるのか? 星野・長塚・木川法律事務所の星野宏明弁護士にお話を伺いました。
Q.痴漢に回し蹴り……これは正当防衛になる?
A.過剰と評価される可能性もあります
「正当防衛は、防衛行為が「やむを得ずにした行為」(刑法36条)であることが条文上の要件です。これは、防衛行為として、必要性、相当性があることを意味し、具体的な事情を総合考慮して決定されます。
他の手段がなかったことまでは必須ではありませんが、回し蹴りまでする必要性があったかどうか、は考慮されます。痴漢の犯人が老人で、周りに人もいた状況であれば、回し蹴りせずとも犯行を中止させることは容易だったのではないかと想像できます。
今回の事件の場合具体的状況がわかりませんが、一般論としては、老人の痴漢犯人に対する回し蹴りは、防衛行為としては過剰であったと評価される可能性も十分あるでしょう」(星野弁護士)
防衛行為が「やむを得ずにした行為」であれば正当防衛になりますが、今回のように「回し蹴りまでする必要性があったかどうか」などを総合的に判断し、「正当か過剰か」判断されるようです。
自分に危機が迫っている場合は防衛せなばなりませんし、一方でやりすぎてもいけない。非常に難しい境界線といえるのではないでしょうか。
*取材協力弁護士:星野宏明(星野・長塚・木川法律事務所(旧星野法律事務所)。不貞による慰謝料請求、外国人の離婚事件、国際案件、中国法務、中小企業の法律相談、ペット訴訟等が専門。)
*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)
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*Graphs / PIXTA(ピクスタ)
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