「ペット」は離婚時にどちらが引き取る?

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一度は愛し合った夫婦が再び袂を分かつ離婚。別れる際、財産分与や親権など、当事者の間で様々な話し合いが行われます。また、物の所有権を巡る争いも発生。「これは俺の金で買ったものだ」「いや、私だ」などと、互いが権利を主張する場合があります。

そんな所有権を巡る争いには様々なものがありますが、意外と多いとされるのがペット。愛していれば「自分が引き取りたい」と考えるのは当然でしょう。

仮にペットの所有権を互いが主張した場合どうなるのか。また、養育費などは発生するのか。あすみ法律事務所の高野倉勇樹弁護士に見解を伺いました。

 

■当事者の話し合いが最優先

「離婚の際の財産分与は、まずは当事者間の話し合いで決まります。当事者だけの話し合いで決まらないときには、家庭裁判所で行われる調停での話し合いによって決まります。

これらの話し合いであれば、ペットをどのように扱うか、自由に決めることができます。“養育費”をもらうことにしたり、月に1 回会うといった“面会交流”の取り決めをすることもできます」(高野倉弁護士)

 

■話し合いで決まらない場合は?

「問題は、こうした話し合いで決まらなかったときです。調停でも話し合いがまとまらないときは、審判という手続に進みます。

審判では、判決と同じように、裁判官が結論を決めます。柔軟な内容とするには限界があります。従って、ペットの“養育費”や“面会交流”というものが認められる可能性はまずないといえます。法律上の明確な根拠がないからです。

離婚の際、ペットは“物”として扱われます。ドイツの民法では“動物は物ではない”と明記されていますが、日本の民法にはそのような規定はありません。不動産や自動車と同じように扱われます」(高野倉弁護士)

 

■親権や養育費は法律上考えられない

「物に過ぎないので、親権や養育費は法律上考えられません。ただし、財産分与においては、法律上、

「当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める。」(民法768条3項)

とされているので、様々なことが考慮されます。

例えば、離婚の際に自動車を財産分与するときは、どちらがより必要としているのかといった事情も考慮して、どちらの所有にするのかを決めます。

ペットの場合、どちらに懐いているのか、どちらが飼育に適した環境かということも考慮された上で、どちらの所有にするのか決めると思われます。ただし、それは裁判官の裁量として考慮されているだけです。

養育費や面会交流のように、権利として認められているわけではありません。

あくまで、ペットを引き続き飼うことになった当事者が、責任をもって世話をする、ということになります。財産分与で自動車を受け取った当事者が、ガソリン代を支払い、税金を支払い、メンテナンスを行う、ということと同じです。

なお、例外として、結婚前から飼っていたペットは、もとの飼い主のものになります。“特有財産”といって、そもそも財産分与の対象になりません。

ペットがいる場合には、できるだけ話し合いでまとめた方がよいといえます。

それ以前に、せっかくペットがいるのであれば、ペットと過ごす時間を通じてパートナーとも時間を共有し、良好な夫婦関係を築いていくのが最善です」(高野倉弁護士)

 

ペットがいる場合は、予め話し合っておくことがベストであるよう。お互いが権利を主張しどうしようもなくなった場合は、やはり弁護士の力を借りたほうがよさそうですね。

 

*取材協力弁護士:高野倉勇樹(あすみ法律事務所。民事、刑事幅広く取り扱っているが、中でも高齢者・障害者関連、企業法務を得意分野とする)

*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)

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