メガバンクでは、人員の削減を検討していると報じられています。いずれも倒産することはまず考えられない企業ですが、低金利や人口減少で経営が悪化への策として収益力を高めて狙いがあるよう。
とはいえ、簡単に社員を解雇できるわけではないため、希望退職を募ったり、整理解雇が人員削減の方法として挙げられますが、その方法は定かではありません。
大規模の人員の削減のため、今回は“整理解雇”と仮定しますが、もしそうであれば、黒字でも整理解雇が可能であるのかという疑問が生じます。
この点について、銀座ウィザード法律事務所の小野智彦弁護士にお聞きしました。
■会社が黒字でも整理解雇を実施することができる?
「整理解雇とは、使用者側の経営事情等により生じた従業員数削減の必要性に基づき労働者を解雇することをいいます。
この“必要性”はどのような要件を満たせば認められるのか、これは多くの判例によって確立されています。必要性が認められなければ、労働契約法16条が適用され、解雇権濫用となり、その整理解雇は無効となります。
では肝心の要件ですが、4つの要件から成り立っています。
・人員削減の必要性が存在すること
・解雇を回避するための努力が尽くされていること
・解雇される者の選定基準及び選定が合理的であること
・事前に、説明・協議義務を尽くしたこと
黒字であるのに、人削減の必要性を認めるのは困難だと思いますし、従業員の素行の悪さなどもないのであれば、選定基準の合理性も疑われかねません。
これらの要件を満たさないと解雇が無効となる恐れがありますので、おそらく実際には“整理解雇”ではなく、割増退職金の提案をして希望退職者を募ったりするなどの措置で退職を勧奨していくことになろうかと思います」(小野弁護士)
要件を満たしていない場合での「整理解雇」は、やはり認められない可能性が高いとのこと。割増退職金や希望退職者の募るなどの方法になっていくようです。
*取材協力弁護士:弁護士 小野智彦(銀座ウィザード法律事務所。浜松市出身。エンターテイメント法、離婚、相続、交通事故、少年事件を得意とする。)
*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)
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