【連載第2回】後悔しない離婚「裁判所は親権者をどう判断する?」

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以前の記事では、離婚において必要な情報は、8つのポイントしかないことをお話しました。第1のポイントでは、離婚を切り出された際には、「パワーバランスを見極めることが大事!」というお話をしました。

本日は、第2のポイント、子連れ離婚を上手に乗り切るためには、「裁判所の判断ポイントを知るべし」というお話です。

未成年者の子どもがいる離婚のケースでは、「親権者」を夫婦のどちらか一方と定めない限り、離婚することは出来ません。未成年者の子がいる夫婦にとっては、親権者を定める問題は、最も重要で最も争いが激しい問題であります。

 

■まずは話し合いから始まる

まずは、夫婦間でのお話し合いを経て、無事に親権者を定めることが出来れば、離婚届に誰が親権者となるか、記入をして、提出をすれば、OKです。

ただ、お話し合いで決着がつかない場合には、裁判所に親権者を決めてもらうことになります。

親権のご相談でよく耳にするのが、「私は専業主婦ですから、経済力がありません。親権者にはなれないのでしょうか?」という質問です。その質問に対して、私は「経済力で親権者は決まりませんので、安心してください」と申し上げております。

経済力は、親権者を決定する上での1項目に過ぎず、経済力がないというだけで親権者になれないということはありません。なぜならば、経済力は、相手方からの養育費や公的扶助で補うことが出来ると考えられているからです。

 

■裁判所では親権者をどのように決めるか

それでは、裁判所はどのような観点から親権者を決めるのでしょうか。それは、「子どもの利益」「子どもの福祉」を重要視しています。

具体的には、父親、母親双方の事情(監護に対する意欲や能力、健康状態、子への愛情、居住環境、監護補助者の有無など)や、子の事情(年齢、性別、兄弟姉妹関係、発育状況、健康状況、現在の環境、新しい環境、子自身の意向など)から総合的に判断されます。

つまり、裁判所は、1つの項目のみを取り上げ、重視をして、親権者の判断をするのではありません総合的に考慮して、「子どもの利益」「子どもの福祉」の観点から、夫婦のどちらを親権者と定めるのがいいのかを判断する、というわけです。

ですから、「私は不倫をしているのですが、親権者にはなれないのでしょうか?」という相談を受けることもありますが、不倫をした母親であっても、それのみをもって、親権者になれないというわけではありません。

 

■中でも重視されているルールがある

また、継続性の原則(現状尊重の原則)といって、特に問題が発生していない限りは、現在監護をしている親が引き続き監護を続けるべきという考え方があります。

これは、まさに「子の利益」「子の福祉」の観点から、他の基準よりも重視されていると考えられています。この原則に従えば、子を現実に監護をしている親が親権者の指定を受けやすい、ということになります。とはいえ、実力行使をして子を奪い取ったケースでは、親権者を決める上でマイナスに働くことはいうまでもありません。

 

以上のとおり、親権者は、父親母親の事情と子の事情を総合考慮の上決定されます。考慮事項はたくさんありますが、ポイントは「子の利益」「子の福祉」です。あくまでも子の健全な育成にとってどちらの親が親権者として適切か、ということを頭に置いていただきたいと思います。

 

*著者:石橋千明丸の内ソレイユ法律事務所の弁護士。男女問題、離婚問題に精通。依頼者の方々や法曹の皆様に信頼していただける弁護士になるべく、
日々研鑽に努める所存です。)

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