9月28日兵庫県の中学校に勤める男性教諭が、卒業生の女性に対し「デートしたい」などとLINEメッセージを送っていたことが報じられています。
教諭は9月26日付で訓告処分となったようですが、以前にもトラブルになっており、ネットからは「退職させるべきではないか」「教師に向いていない」という厳しい声もでているようです。
一方で「卒業生ならば良いのではないか」「教師と生徒・元生徒という立場でも、お互いが恋愛感情を持っていれば恋愛しても良いのではないか」という同情的な意見もあがっています。
今回の件のような教師と生徒、元生徒とデート、恋愛をするようなことは法律的に許されるのでしょうか? ともえ法律事務所の寺林智栄弁護士に見解をお伺いしました。
■教師と生徒・元生徒の恋愛は許されるのか?
「兵庫県で、40代の中学校の教師が10代の女性卒業生に対して『ちゅ~してしまうかも』、『デートしたい』などとLINEを送ったことにより、訓告処分を受けたことが話題になっています。
卒業生なのであれば、もう先生と生徒という関係にはありません。そのため、この教師が訓告処分を受けたことに対して疑問の声も上がっているようです。
先生と生徒、元生徒との恋愛は許されないのでしょうか。今回はこの点について考えてみます」(寺林弁護士)
■青少年保護育成条例への抵触
「18歳未満の女性に対する性的な行為はほとんどの自治体で青少年保護育成条例によって禁止されています。
真摯な交際であれば許されるという例外もありますが、実際のところ、そうみなされるケースは非常に少なく、先生と生徒、元生徒(18歳未満)との恋愛で性的な関係があれば、この条例に反するとされ刑罰の対象となるでしょう」(寺林弁護士)
■今回の件について
「今回の件については、“元教師”という権威的立場を利用して、性的発言を元生徒に行った点がセクハラに類似する“性的嫌がらせ”とみなされたのではないでしょうか。
もう卒業している学校とはいえ、自分の兄弟が通学している場合などには、自分の対応いかんで何らかの不利益を被ることも想定されます。
そのような状況ではなくても、これがどんどんエスカレートして、例えばストーカー行為に及んだりわいせつ画像を撮らせるよう懇願するような危険性があったのかもしれません。
実際、この男性教諭は以前にもトラブルがあり、この件も踏まえたうえで自覚が足りないと訓告処分が科されたのではないかと思います」(寺林弁護士)
■結局のところ先生と生徒の恋愛は許されるのか
「許されることがあるとすれば、対等な立場で性的な関係を一切伴わない「純愛」しかありえないものと思われます」(寺林弁護士)
性的関係を伴う場合、その立場上周囲の理解を得ることは難しいようですね。
*取材協力弁護士:寺林智栄
*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)
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