7月31日、Twitterに「安倍総理逮捕」と書かれたデマ新聞記事画像が『産経新聞社』の「PDF号外」を装いアップロードされる事案が発生。産経新聞社は「極めて悪質」と遺憾の意を表明しており、法的措置も検討しているようです。
事案は今のところ進展を見せていませんが、今後、投稿主はどのような罪に問われることが予想されるのでしょうか?
法律事務所アルシエンの清水陽平弁護士にご意見を伺いました。
Q.安倍総理の「ニセ新聞記事」事件、投稿主はどのような罪に問われる?
A.名誉毀損罪、威力業務妨害罪が成立する可能性があります。
「記事の内容が“安倍総理逮捕”といったものであるため、単純に考えると安倍首相が刑法に抵触する違法行為をした疑いがあるということで逮捕されたと認識されることになるため、安倍首相との関係でその社会的評価を低下させることになります。
そのため、安倍首相に対する名誉毀損罪となる可能性があります。ただし、名誉毀損罪は親告罪であるため、安倍首相が告訴しなければ、実際上は捜査もされないと思われます。
偽の号外を出された産経新聞としては、それが偽なのかどうかは一見して明らかとまではいえないと思われることから、デマを報じていると認識されることになります。
そうすると、産経新聞に対しては抗議や確認の連絡が多数された可能性もあります。このような問い合わせに対する対応が必要になったという点で、業務が妨害されているということができます。したがって、偽計業務妨害罪が成立する余地があります。
また、報道機関としての存在意義を否定されるなど、報道機関としての正当性に疑問を持たれてしまう可能性がある点で、産経新聞の社会的評価も低下していると言い得ます。したがって、名誉毀損罪が成立すると見ることができます」(清水弁護士)
今回の事案は名誉毀損罪、威力業務妨害罪などが成立する可能性があるとのこと。公人・私人問わず人の名誉を傷つけるような投稿は、止めるようにしましょう。
また、仮に自分がデマ被害に遭っているという場合は、名誉毀損罪や威力業務妨害罪で訴えることができるかもしれません。弁護士に相談をしてみましょう。
*取材協力弁護士:弁護士 清水陽平(法律事務所アルシエン。インターネット上でされる誹謗中傷への対策、炎上対策のほか、名誉・プライバシー関連訴訟などに対応。)
*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)
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*Graphs / PIXTA(ピクスタ)
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