社会問題化しているにもかかわらず、いまだに存在しているブラック企業。その多くは、自分のことしか考えない横暴な社長のめちゃくちゃな経営方針が原因であると考えられています。
「ブラック」とはいかなくとも、社員の言うことに全く耳を貸さない、自分の儲けばかり考えて社員のことを考えていないなど、困った社長はいるものです。
そんな「社長」に社員が辞めさせることはできないのでしょうか?
Q.社長を辞めさせたいのですが、そんなことは可能ですか?
A.ケース・バイ・ケースですが、可能です。
ケース・バイ・ケースですが、辞めさせることができる場合もあります。会社に取締役会がある場合は、事前に大半の取締役から代表取締役解職について了解を得ておいた上で、取締役会の席上代表取締役解職の緊急動議を出し、会社法362号3項に基づき、代表取締役を解職し、新しい社長を選定することができます。
株式会社の場合は1%以上の株式を取得している株主が取締役に対して次回株主総会における社長解任の議題を提案し、株主総会で過半数の賛成があれば、解任することが可能です。
総株主の議決権の3%以上の株式を取得している株主は、社長の取締役解任を決議事項として取締役に株主総会の招集を請求することもできます。
社員から有力な取締役や株主に働きかける、自身で株式を取得するなどの準備をしたうえで株主総会を開かせ、過半数の支持を集めることができれば、辞めさせることができるでしょう。
ただし、通常株主総会での解任は社長の意向が色濃いなかでの開催となるため、辞職に追い込むのは難しいとの認識が一般的です。
また、取締役も存在せず、株主総会もめったに開かれないような企業については、社長を辞職に追い込むことは非常に困難で、手立てがないと言わざるを得ません。
仮に社長が創業者の場合は辞めさせることができたとしても、結局なんらかの形でかかわりをもつため、完全に関係を断つことは難しいことも、頭に入れる必要があります。
いずれにしても様々なケースが考えられますので、まずが法の専門家である弁護士に相談してみましょう。
*記事監修弁護士:冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー。)
*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)
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