楽しいはずの飲み会が一転…飲酒を強要した人はどんな罪に問われる?

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4月を迎え、新入社員や大学入学等の歓迎会が各地で開かれていることかと思います。そんな中、毎年のように目にするのが、急性アルコール中毒による事故のニュースです。

ひどいものでは、死亡に至るケースもあり、社会問題となっています。

本日は、飲酒につきまとう法律問題についてお話しします。

 

■飲酒を強要するとどんな罪になる?

もし、脅して飲酒を強要するようなことがあれば、強要罪(刑法223条)が成立する余地があります。

また、酔い潰す(急性アルコール中毒などを引き起こす目的で)お酒を飲ませた場合に傷害罪(刑法204条)、さらにその上死亡してしまうと傷害致死罪(刑法205条)が成立する可能性があります。

さらに、酔い潰れた人を放置して立ち去った場合には、保護責任者遺棄罪(刑法218条)、その人がそのまま亡くなってしまえば保護責任者遺棄致死罪(刑法219条)が成立する余地があります。

このように、飲酒の強要等から派生して様々な犯罪が成立することがあり得ます。

 

■飲酒を強要した結果死亡した場合の法律問題

例えば新歓コンパ等で新入生にイッキ飲みを強要した結果、急性アルコール中毒となり死亡したケースで考えてみます。この場合、上記のとおり、刑法上傷害致死罪(3年以上の有期懲役)が成立し逮捕される可能性があります。

また、民事上も損害賠償請求の対象となります。就業前の学生が亡くなった場合、将来得られるべき逸失利益が非常に大きくなる可能性が高く、高額な損害賠償義務が生じえます。

 

■未成年が自主的に飲酒した場合の罰則について

ここまでは、飲酒を強要した場合についてお話ししてまいりましたが、新入生などの未成年者が自ら積極的に飲酒をした場合はどうでしょうか。まず、その結果何が起きても、これまでお話ししたような第三者に何らかの責任が発生する可能性は低くなります。

自ら飲酒をした未成年者は罰せられるのかと言われると、そういうことも無いといえます。

「未成年者飲酒禁止法」という法律はありますが、未成年者を罰する規定はありません。これは、未成年者の飲酒を知りながら止めなかった親権者らやお酒を提供したお店などが罰せられる法律です。

 

■最後に

楽しいはずの飲み会が、飲酒の強要等により急性アルコール中毒などの事故、事件により一転トラブルに発展します。死亡者が出る可能性もあるということを十分に自覚して、楽しい集まりになるようにしてください。

そんな筆者は全くお酒が飲めない下戸です。大学に入りたての時は、「飲まないとしらけられる」という空気が非常に気になりました。

お酒を飲める人は、全くお酒が飲めない人もいるということをご理解いただき、無理な飲酒の強要やそれに至らなくても飲めない人にとって気兼ねがしない雰囲気づくりを心掛けるようにしていただきたいものです。

 

*著者:弁護士 河野晃 (水田法律事務所。兵庫県姫路市にて活動をしており、弁護士生活7年目を迎える。敷居が低く気軽に相談できる弁護士を目指している。)

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河野先生
河野 晃 こうのあきら

水田法律事務所

兵庫県姫路市本町68-170大手前第一ビル3階

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