少し前に大手商社が健康管理の観点、効率的な働き方の推進を目指し朝型勤務(始業時間前の勤務)を導入し話題になりました。
そのような制度を導入していない企業にお勤めの方であっても、始業時間よりかなり早めに出社している方というのは結構多いのではないでしょうか。
さて、ここで問題となるのは、朝型勤務制度の導入がないにも関わらず早朝に勤務している人に残業代は出るのかという点です。
朝働くか夜働くかという単純な問題のような気もしますが、実際のところはどうなのでしょうか……?
Q.早朝に勤務しても残業代ってもらえるの?
A.早朝勤務が業務命令ならば残業代を請求できますが、勝手に早く来ているのであれば残業代を請求できる可能性は低いでしょう。
残業代をもらえるかどうか判断する上で重要なポイントとなるのが、「業務命令」があったのかどうかという点です。
早く出社して業務をするように上司などから指示があったのであれば、それは残業となり残業代を請求できますが、その人が自主的に早く来て仕事をしているだけなのであれば、それは誰も業務命令を出していないため、残業代を請求できる余地がないということになります。
ただ、この業務命令は必ずしも「明確に」言われたものであるかどうかを問いません。
よって、始業時間の30分前に出社することが明確な指示がないものの、暗に強制的なものとなっていて、実際その始業時間前に仕事を振られるようなことがあるのであれば、その時間はたとえ朝であっても残業代を請求できる余地はあるでしょう(始業時間前の朝礼なども同様です)。
*取材・文:ライター 松永大輝(個人事務所Ad Libitum代表。早稲田大学教育学部卒。在学中に社労士試験に合格し、大手社労士法人に新卒入社。上場企業からベンチャー企業まで約10社ほどの顧問先を担当。その後、IT系のベンチャー企業にて、採用・労務など人事業務全般を担当。並行して、大手通信教育学校の社労士講座講師として講義サポートやテキスト執筆・校正などにも従事。現在は保有資格(社会保険労務士、AFP、産業カウンセラー)を活かしフリーランスの人事として複数の企業様のサポートをする傍ら、講師、Webライターなど幅広く活動中。
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