ついに就活解禁…「Gmail」を使用した学生は不採用ってこんなことアリなの?

ついに2018年卒業見込みの学生の就職活動が解禁しましたね。

学生の方は無事に内定がもらえるのか、どんな企業に行けばいいのかわからないなど、多くの不安を抱えていることと思います。

さて、2年前の出来事ではありますが、「Gmailを使用していた学生を不採用にした」という出来事が話題になりました。「Gmailを利用してたから不採用って差別では……?」などとネットでも議論になりましたが、実際にはどのような理由で不採用にすると差別となるのでしょうか?

一般論も交えて解説していきたいと思います。

*画像はイメージです:https://pixta.jp/

 

■憲法には差別されないとの規定がある

有名な話ですが、憲法によって「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」と規定されています。

仮に企業が女性であることを理由に面接も実施せず門前払いをしたとすれば、差別であることは明白です。憲法が性別による差別を禁じているからです。黒人であることを理由にしたとすれば、人種による差別となります。

しかし、銀行などの固いイメージがある企業の面接にTシャツジーパンを着た学生が来たときに、門前払いをしたとしても、差別ではないです。その理由はなんでしょうか。

 

■差別になる理由、ならない理由

この差は、個人が努力して克服できる事象で選別しても差別にならない、などと説明されています。

背広を着てネクタイを締めて面接に臨むことは誰でも出来ます。それをしなかったことを理由に選別しても差別にならないということです。しかし、女性がいくら努力しても男性になることは不可能です(性同一性障害に基づく性転換などの事例はのぞきます)。

黒人がいくら努力しても白人や黄色人種にはなれません。従って、性別や人種による差別は禁止されます。

 

■メールアドレスで選別は差別なのか

Gmailなどのフリーメールを使わずに、有料のメールサービスや学校で発行したメールアドレスなどを使うことは誰でも出来ます。従って、Gmailを使っていることを理由にした選別は合理的な理由が無くても差別とはなりません。

フリーメールによってはセキュリティに対して問題視されているサービスもあると言われ、企業によっては使用禁止にしているところもありますが、就職もしていない学生がそれを使ってはいけないというような常識はまだ確立されていないと思います。

ですので、仮に、企業が就職活動中からも企業との連絡はフリーメールを使ってはいけないと判断するなら、それを事前に告知すべきです。そのような告知もなく、面接段階で突然フリーメールを理由に門前払いをすることは不当としか言えません。

当不当の問題ですから、法律問題にはなりませんが、フリーメールを理由に門前払いするような非常識な対応をする企業だとネットで話題になれば、企業の利益を損なうことになると思います。

 

*この記事は2015年4月に掲載されたものを再編集しています。

*著者:弁護士 星正秀(星法律事務所。離婚、相続などの家事事件や不動産、貸金などの一般的な民事事件を中心に、刑事事件や会社の顧問などもこなす。)

【画像】イメージです

*saki / PIXTA(ピクスタ)

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星 正秀 ほしまさひで

星法律事務所

東京都中央区銀座2−8−5石川ビル8階

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