皆さんは自分の地域の「最低賃金」がいくらかご存知でしょうか? ちなみに筆者の住む東京は全国で最も高く、932円(2017年2月現在)となっています。結果的に東京ではアルバイト求人も時給1,000円以上のものが大半を占めているのが現状でしょう。
ただ、アルバイトをしたことのある方ならご存知かもしれませんが、入社したての数ヶ月(あるいは一定時間)は「研修期間」として本来の時給よりも低い金額が設定されているところが多くありますよね。
「研修期間」だからという理由で最低賃金を下回る金額で働かされることは法的に問題ないのでしょうか?
Q.「研修期間」を理由として最低賃金を下回るのはアリ?
A.行政に予め届出をし「許可」を受けていれば、時給が最低賃金を下回っていても問題ありません。許可を受けていれば、ですが……。
本来、最低賃金は最低賃金法という法律により地域別・産業別に最低賃金が定められており、この法律によって定められた最低賃金以上の賃金を支払うことを事実上会社に強制しています。
ただし、「最低賃金の減額の特例」というものがあり、一定の場合(障がい者や職業訓練を受ける場合など)には最低賃金を下回る賃金額でも構わないとされています。
「研修期間」(試用期間もこの一定の場合に含まれており)は、会社が行政の許可を受けた場合は最低賃金から最大20%減額した額で「研修期間中」(最大6ヶ月)は仕事をさせることが可能です。
ですが、この特例を知っていて行政の許可まで受けている会社は少数でしょうから、この許可を受けていないのに勝手に時給を下げているのであれば、これは最低賃金法に違反することになり、「研修期間」を理由とした最低賃金以下の時給は無効(最低賃金額に自動修正)となります。
*取材・文:ライター 松永大輝(個人事務所Ad Libitum代表。早稲田大学教育学部卒。在学中に社労士試験に合格し、大手社労士法人に新卒入社。上場企業からベンチャー企業まで約10社ほどの顧問先を担当。その後、IT系のベンチャー企業にて、採用・労務など人事業務全般を担当。並行して、大手通信教育学校の社労士講座講師として講義サポートやテキスト執筆・校正などにも従事。現在は保有資格(社会保険労務士、AFP、産業カウンセラー)を活かしフリーランスの人事として複数の企業様のサポートをする傍ら、講師、Webライターなど幅広く活動中。
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