■破産宣告
「いよいよ、破産申立当日、裁判所に破産の申立を行います。
同日、従業員説明会を開催し、社長と弁護士とで、従業員に対して、破産申立に至った経緯や今後の諸手続きについて説明をします。ほとんどの従業員はこのときはじめて会社が破産したことを知るので、驚きや怒り、不安などを感じます。社長は辛い立場ではありますが、従業員からの質問や疑問をしっかり受け止めなければいけません。
その後、裁判所から選任された破産管財人が会社にやってきます。裁判所から破産開始決定が出されて以降は、財産の管理処分権の一切は管財人に移りますので、社長と弁護士は、管財人への引き継ぎを行います。
このように、破産を決断してから、破産を申し立てるまでには多くの苦労が伴いますが、もし社長が破産を嫌がって夜逃げでもしてしまったら、従業員とその家族はより大きな混乱に陥ります。
破産申立は社長が社長として従業員にしてあげられる最後の大仕事ですので、弁護士は社長と共に一生懸命準備をして破産を申し立てるのです」(小澤弁護士)
「企業の終わり」は様々な感情が入り交じるうえ、路頭に迷いかねない従業員もいるため、慎重かつ秘密裏に行う必要があるようです。
そして、弁護士はその想いを汲みながら粛々と職務を全うするのですね。
*取材協力弁護士 小澤亜季子(センチュリー法律事務所。「依頼者のお気持ちに寄り添い傾聴すること、なるべく早く具体的な解決策を提案すること、そのための費用がいくらかかるのかを明確にすることを心がけております」)
*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)
【画像】イメージです
*kahon / PIXTA(ピクスタ)
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