最近はゴミの分別回収が進んでいます。ルールに従わない場合、自治体の依頼を受けた人間がゴミ袋を開封したうえ個人情報をチェックし、特定できた場合注意を促したうえ、罰金を課す自治体もあるほどです。
そのようなケースは条例に基づいているため基本的には適法と考えられています。しかし、なかにはゴミ出しにうるさい人間が勝手にゴミ袋を開け特定し、「ちゃんと分別しなさいよ!」と電話をかけるなどして抗議してくることがあります。
明らかにプライバシーを侵害しているように思えるこの行為。法律違反ではないのですか? 近隣トラブルに精通したピープルズ法律事務所の森川文人弁護士に見解をお伺いしました。
Q.「ゴミの出し方がなっていない」という理由で隣人が勝手にゴミを開け、個人を特定しクレームをつける行為は違法?
A.ケース・バイ・ケースです。適法な場合もあります。
「例えば、その人の家の玄関前にゴミが置かれていたとか、頻繁に庭にゴミが投げ込まれているとかなど、その第三者に対する違法行為の可能性がある場合、違法行為者を特定するためにゴミを開披することは許されるのではないかと思います。
それ以外の場合で、単に主観的に不当な“ゴミの出し方”に対し、第三者がゴミを開披して個人を特定することはプライバシー権の侵害となりうるとは思います。
もっとも、まさに“ゴミ”であり、所有権を放棄した動産類につき第三者が扱うことの違法性を指摘するには、さらに、そこに至った状況についての詳細がわからなければ一概にはいえません」(森川弁護士)
ゴミを私有地に置かれるなど、違法行為を受けている人がその人間を特定するためであれば、適法となることもあるようです。
しかし、主観的な理由で開ける行為は違法となる可能性が高くなります。また、自治体の「ゴミ開封行為」については議論が分かれており、「憲法違反ではないか」という指摘もあるようです。
いずれにしてもゴミ問題は近隣トラブルに発展することが多く、様々な状況が考えられるため、法的判断も「ケース・バイ・ケース」で変わってきます。
勝手にゴミを開けられるなどの行為に悩んでいる場合は、近隣トラブルに詳しい弁護士に相談してアドバイスをもらうのがベストかもしれませんね。
*取材協力弁護士:森川文人(ピープルズ法律事務所。弁護士歴25年。いわゆる街弁として幅広く業務を経験。離婚、遺産相続をはじめ、不動産、 慰謝料・損害賠償請求、近隣トラブル、借地借家、賃金、インターネット問題、知的財産権などを扱う。)
*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)
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*Graphs / PIXTA(ピクスタ)
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