日本人にすっかり定着した短文投稿サイト『Twitter』。その手軽さから日常生活やスポーツの模様など、様々な画像もアップされています。
そんな画像が、知らない間にほかのサイトに使われていた。Twitterに限らず、ブログなどでも自身が撮影した画像が無断で使われるケースが、稀に発生しています。
また、最近はツイートをまとめサイトなどで“引用”という形で掲載されることも。この2つの事案、法律的にみてどうなのでしょうか?
インターネット問題に詳しい法律事務所アルシエンの清水陽平弁護士にご意見を伺いました。
■画像を無断で転載することは?
まず、画像の無断転載はどうでしょうか?
「原則的に著作権法違反と言えます。個人の撮影した写真であっても基本的に撮影者に著作権があるといえることが一般的であり、それを無断で利用することは許されません。
著作権者に無断で使用している時点で、コピーしているので、複製権侵害、HPで利用されている点で公衆送信権侵害などが成立しているということになります。
ちなみに、私的利用は許されるとされていますが、私的利用は家庭内などでの利用を前提にしており、ネット上での利用は私的利用に含まれません。
また、著作権法は親告罪とされているため、告訴がなければ起訴されないということにはなっていますが、罪としては、“10年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科”となっています(著作権法119条1項)」(清水弁護士)
やはり、原則的に個人撮影した画像を無断で使用することは違法となります。「あの写真良いなあ、使いたいな」と思った場合は、必ず撮影者に確認し許可を得なければなりません。
昨今同じような事案で無断使用者を提訴したケースが相次いでいますから、認知している人がほとんどであるとは思いますが、もう一度「画像の無断転載は違法」ということを認識しましょう。
■ツイートの引用はどうなの?
次にツイートの引用について聞いてみました。
「著作権法上、引用の要件を満たしていれば許諾不要で利用可能です。引用が許されるためには、
①公表された著作物であること
②公正な慣行に合致すること
③目的が正当な範囲にあること
が求められています。
もっとも、その意味するところは必ずしも明らかではなく、裁判実務上では
①引用された部分が明確であること(明瞭区別性)
②引用する側が「主」で,引用される側が「従」といえる関係にあること(主従関係性)
が重視されています。
ツイートを直接貼り付けサイトで公開している場合、引用部分が明確になっており、埋め込みでURLリンクもあるのであれば、①を満たし主従関係も明確と言えるため。②を満たすと考えられます」(清水弁護士)
清水弁護士によると、まとめサイトなどでのツイート引用は明瞭区別性があり、主従関係が明確であれば問題はないようです。
画像無断転載は全面NG、ツイートは条件を満たしていれば引用可。よく覚えておきましょう。
*取材協力弁護士:弁護士 清水陽平(法律事務所アルシエン。インターネット上でされる誹謗中傷への対策、炎上対策のほか、名誉・プライバシー関連訴訟などに対応。)
*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)
【画像】イメージです
*cifotart / PIXTA(ピクスタ)
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