職場までの通勤に多くの方は「交通費」がかかっているものと思いますが、ほとんどの会社では交通費はほぼ全額支給されているのではないでしょうか。
ところが転職や新たなバイトを始めてみると、新たな職場では交通費が全く支給されず困惑した、というケースがあるようです。そもそも職場に通うためには交通費は絶対必要なのですから、交通費を支払わないのは違法とはならないのでしょうか?
Q.今度の職場は交通費が不支給……これって違法では?
A.実は法律上、交通費の支給は特に義務付けられていません。
意外に思われるかもしれませんが、通勤のために生じる交通費について法律は会社に対して特に支給することを義務付けていません。
そのため、大量にアルバイトを雇う会社などでは従業員の個別の通勤費を計算する手間を省くため、交通費を不支給としていたり、そもそも時給に交通費が込みになっていたりすることがよくあります。
よって、交通費が支給されないからといって違法とはならないのですね。支給するかどうかは完全に会社の自由なのです(最近は職住近接を推奨するため、通勤費の代わりに職場から○キロ以内に住む従業員に対して特別に住宅手当を支給する会社も増えてきています)。
ちなみに交通費とは別ですが、給与天引きされている年金や健康保険などの社会保険料は従業員と会社が折半で納付しているものですから、会社は社会保険料の会社負担分については必ず支払う必要があります。
(なお、従業員負担分を会社が多少多めに負担し、給与天引き分を減らす分には全く問題ありません。賃上げの代わりにこのような制度を導入している会社も実際存在します)
*取材・文:ライター 松永大輝(個人事務所Ad Libitum代表。早稲田大学教育学部卒。在学中に社労士試験に合格し、大手社労士法人に新卒入社。上場企業からベンチャー企業まで約10社ほどの顧問先を担当。その後、IT系のベンチャー企業にて、採用・労務など人事業務全般を担当。並行して、大手通信教育学校の社労士講座講師として講義サポートやテキスト執筆・校正などにも従事。現在は保有資格(社会保険労務士、AFP、産業カウンセラー)を活かしフリーランスの人事として複数の企業様のサポートをする傍ら、講師、Webライターなど幅広く活動中。
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