高速バス運転手が体調不良で仮眠し寝坊…8時間閉じ込められた乗客に補償は?

今月20日、中国JRバスが運航していた、広島県呉市から大阪市に向かう高速バスで、乗客が約8時間閉じ込められるという出来事がありました。

運転手は、体調不良だったため、バスの床下部分で仮眠を取っていたそうですが、仮眠時間として設定されている3時間を超えても起きず、翌朝、乗客が不審に思いバス会社に連絡して事態が発覚したとのことです。

今回は本件に関して、8時間閉じ込められ、到着が遅れたことによる補償はあるのか、といった点について解説していきたいと思います。

*画像はイメージです:https://pixta.jp/

 

■8時間閉じ込められたことによる補償はあるのか?

気になる補償ですが、原則としてありません。

本件では、新幹線などの代替手段によって、乗客は最終目的地まで到着しています。このような場合には、バス会社は運賃を全額いただけます。

 

列車の特急券などは所定の時間以上の遅れが出た場合は、特急券代の返金がありますが、当着すれば乗車券代の返金がないのと同じです。

高速バスは、列車に比べれば遅れが発生しやすく、乗客もそれを見込んで乗る必要があります。

なお、遅延が発生した場合に車内に閉じ込められるのは、列車もバスも同じですからそれに伴う特別な損害を補償してもらうことも難しいでしょう。

 

■今回は“ワンオペ”だった可能性が高いが……?

仮眠時間として設定されていた3時間を超えても運転手が起きず、不審に思った乗客がバス会社に連絡し、代わりの運転手が到着するまで閉じ込められていた、ということからいわゆる“ワンオペ”でこのバスは運転されていたのではないかと思われる方がいるかもしれません。

ワンオペに関してですが、国土交通省は、長距離を単独で運転すると疲労による事故が起こりやすいため、500キロ以上の距離を単独で運転することを原則として禁じています。

しかしながら、これには、いろいろな例外処置がありますので、本件がこの規則に違反しているか否かは不明です。

 

空路や鉄道と異なり、陸路となるバスでの移動には、交通事故や自然渋滞、気象の急変など突発事故が起きがちです。

今回のように、運転手が熟睡し起きない上に管理会社が定期の連絡をしないというような重大なミスが二つも重なるのは異例でしょうが。

高速バスは空路や鉄道よりも料金が安いのが魅力ですが、それにはリスクが伴うことを考え、適切な移動手段を選択したいものです。

 

*著者:弁護士 星正秀(星法律事務所。離婚、相続などの家事事件や不動産、貸金などの一般的な民事事件を中心に、刑事事件や会社の顧問などもこなす。)

【画像】イメージです

*space-monkey / PIXTA(ピクスタ)

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星 正秀 ほしまさひで 弁護士

星法律事務所

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