福島県の小学校で30代の教師が児童4人に対して「デスノートに名前を書くぞ」と発言していたことが今月12日に発覚しました(デスノートは、原作:大場つぐみさん、作画:小畑健さんによる人気漫画で、そのノートに名前を書かれると死ぬ、という設定)。
学校は不適切だと判断して、謝罪をしたようですが、この行為に違法性はなかったのか、解説してみたいと思います。
■相手が児童ならば脅迫罪が成立するという学説が有力
デスノートに名前を書かれると死ぬという設定があるということですから、教師の児童に向けての発言は、生命に対し害を加える旨を告知したと言え、脅迫罪に該当しそうです。
しかしながら、デスノートに名前を書くと本当に死ぬのか、ということになると、これは単なる架空の設定であって、そのようなことは現実ではありえないということになります。そうすると、客観的な脅迫行為が存在しないということになります。
ところが、学説の中には、「一般人ならば恐怖心が生じない程度の害悪の告知であっても、相手が小心ないし迷信家であることを熟知して告知する場合は、脅迫罪が成立する」という説が有力だったりします。
この説に立ちますと、児童が本当に死ぬかもしれないと思っていて、そのことを教師が熟知した上でこのような言動をしたというのであれば、脅迫罪が成立することになりますね。
とはいえこの辺は、検察官のさじ加減一つでしょうね。もちろん、脅迫罪が成立しないとする学説もあります。
■民事としては
民事では、児童がデスノートに書かれると本当に死ぬかもしれないと思っていて、教師がそのことを熟知した上でこのような言動をしたというのであれば、児童たちの人格権を侵害したということで、不法行為が成立し、慰謝料の対象になるものと考えられます。
*著者:弁護士 小野智彦(浜松市出身。H11.4弁護士登録。銀座ウィザード法律事務所代表。手品、フルート演奏、手相鑑定、カメラ等と多趣味。手品の種明し訴訟原告代理人、ギミックコイン刑事裁判弁護人、雷句誠氏の漫画原稿の美術的価値を求めて小学館を提訴、等の代理人を務めた。エンターテイメント法、離婚、相続、交通事故、少年事件を得意とする)
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*しげぱぱ / PIXTA(ピクスタ)
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