あらかじめ決められた仕事を遂行すれば、勤務時間に縛られずに仕事ができる「裁量労働制」。開発や研究、クリエイティブなど一部の分野に限り認められている働き方です。
裁量労働制が適用されている社員は、自分で決めたペースで仕事を進めることができ、昼からの出勤や早い時間の退勤も許されます。しかし、残業をした場合の賃金はどうなるのでしょうか? また、そもそも給与はどのように決定されているのでしょうか?
Q.裁量労働制だと残業代は出ない?
(1)出る
(2)出ない
A.(2)出ない
裁量労働制とは、実際の勤務時間を管理せず、一定の時間働いたとみなし成果物で社員を評価するという制度です。この一定の時間のことを「みなし時間」といいます。
例えばみなし時間が8時間と定められていた場合、1日4時間働いても8時間働いても給与額は変わりません。10時間働いたとしても、いわゆる残業代は発生しません。
ただし、裁量労働制でも時間外労働の割増賃金の支払義務があります。例えばみなし時間が9時間と定められていた場合、1日8時間、週40時間という法定労働時間を超える1時間分は割増賃金が発生します。裁量労働制はあくまで労働時間を一定時間にみなす制度ですので、割増賃金の定めが除外されるわけではないからです。
また、午後10時~午前5時までの深夜労働や休日労働においては法律で定められた割増賃金が発生します。もしこれらが支払われておらず会社に請求をする場合は、タイムカードなどの記録が必要になります。
*記事監修弁護士:大窪和久(桜丘法律事務所所属。2003年に弁護士登録を行い、桜丘法律事務所で研鑽をした後、11年間、いわゆる弁護士過疎地域とよばれる場所で仕事を継続。地方では特に離婚、婚約破棄、不倫等の案件を多く取り扱ってきた。これまでの経験を活かし、スムーズで有利な解決を目指す。)
*取材・文:フリーライター 岡本まーこ(大学卒業後、様々なアルバイトを経てフリーライターに。裁判傍聴にハマり裁判所に通っていた経験がある。「法廷ライターまーこと裁判所へ行こう!」(エンターブレイン)、「法廷ライターまーこは見た!漫画裁判傍聴記」(かもがわ出版)。)
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*Ushico / PIXTA(ピクスタ)
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