部下の女性社員への「セクハラ」を見て見ぬ振りをした…上司にも責任は発生する?

先日、フジテレビの幹部社員がレコード会社に勤める女性にセクハラをしていたと報じられ、両社ともその事実を認めたことでちょっとした話題となりました。また12月3日には、派遣社員の女性にセクハラ行為をしたとして、毎日放送に勤める男性社員4人が11月28付で懲戒処分となったことが報じられました。

セクシャルハラスメント(セクハラ)はその行為自体が犯罪となり得るため、当事者が処罰されるのは当然のことと言えるでしょう。

しかし、セクハラの多くは職場や会社間の立場の違いを悪用されて起こることがほとんどです。こういった場合、その仕事をしていなければセクハラ被害に遭うこともなかったでしょうし、職場がセクハラを予防する仕組みが整っていれば被害を未然に防げたかもしれません。

タイトルにもあるように、もし部下がセクハラに遭っているのを上司が見て見ぬ振りをした場合、上司にお咎めはあるのでしょうか?

Q.セクハラの当事者だけでなく、それを注意しなかった上司に法的責任は発生するのか?

*画像はイメージです:https://pixta.jp/

A.発生する可能性大!

企業には従業員の安全を配慮する義務、職場環境を整える義務があるため、上司や会社が法的な責任を問われる可能性は充分考えられます。

企業は従業員と雇用契約を結んでいますが、この契約に付随して企業は従業員が安全に働けるように配慮する義務(安全配慮義務)や、なるべく快適な職場環境を整える義務(職場環境配慮義務)を必ず持っているものとされています。

そのため、今回ご紹介した例のように上司が部下のセクハラ被害を見て見ぬ振りをしたり、気づける立場にいながら気づけなかったりする場合には上記2つの義務に違反するため、上司や会社は従業員から損害賠償を請求される可能性があります。

 

 

*取材・文:ライター 松永大輝(個人事務所Ad Libitum代表。早稲田大学教育学部卒。在学中に社労士試験に合格し、大手社労士法人に新卒入社。上場企業からベンチャー企業まで約10社ほどの顧問先を担当。その後、IT系のベンチャー企業にて、採用・労務など人事業務全般を担当。並行して、大手通信教育学校の社労士講座講師として講義サポートやテキスト執筆・校正などにも従事。現在は保有資格(社会保険労務士、AFP、産業カウンセラー)を活かしフリーランスの人事として複数の企業様のサポートをする傍ら、講師、Webライターなど幅広く活動中。)

【画像】イメージです

*つむぎ / PIXTA(ピクスタ)

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