「ITは法律トラブルの予防が最重要課題」…未然にリスクを防ぐ方法を弁護士が指南

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大学在学中の2002年に、友人と共にIT系のベンチャー企業を設立した経験を生かして、現在でもIT企業のサポートを多くこなしている中野弁護士。弁護士の枠組みを超えて取り組んでいる事業や、IT関連の法的な今後の動向予想についてお話を伺いました。

中野秀俊(なかの ひでとし)
弁護士グローウィル国際法律事務所は、元IT企業経営者であり現在も会社の経営者である中野秀俊弁護士が、クライアントにとって理想の法律事務所を実現したいという思いから設立。

 

*中野弁護士のインタビュー記事

会社倒産を経験した弁護士が法律トラブルでなぜ「スピード感」を重視するようになったのか

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■ITベンチャーの法律以外の悩みもトータルでサポート

___事務所として注力している取り組みについて教えてください。

やはり、私が起業していたということもあって、IT企業のサポートが主力業務になっています。また、「みらいチャレンジ株式会社」という会社も運営しています。この会社は、当法律事務所のクライアントの方を主な対象として、法律以外の悩み、例えば、資金調達や人材採用、IPO・海外進出支援についてもサポートする事業です。

ベンチャー企業が抱えている問題というのは主に「お金がない」「人がいない」「商品やサービスをPRする方法がわからない」という3つがあります。資金調達がしたいのだったら、助成金を取る、社債を発行する、銀行に融資してもらうといった解決法の中から、そのクライアントにあった最適なものを提示していきます。人がいなくて困っている場合は、大学や専門学校などの養成機関と組んで、良い人材を紹介するといった事業も行っています。

このように、法律に関する支援は当然のこととして、法律以外の面でも、一緒になって成長していきましょうというスタンスを非常に大切にしています。

 

___企業支援については顧問に就くことが多いのでしょうか?

そうですね、基本的に企業は顧問が多いです。もちろん、スポットで契約書を作ってくださいというお願いにも対応しています。顧問は、現在のところ、会社単位だと約70社、全部の案件を含めると100社程度請け負っています。企業の業種は、8割くらいがIT系になります。残り2割はメーカーや不動産など様々です。事業規模もスタートアップから一部上場企業まで幅広く対応しています。一番多いのは従業員数で20名~50名程度の中小企業ですね。

 

■ITに法律が追いつかないなか、リスクを未然に防ぐ方法とは?

___IT企業のサポートを多数行っていることで、蓄積された知識や経験はありますか?

IT関連の法律は、けっこう特殊なものが多くあり、著作権や特許などの知的財産権まわりや、特定商取引法、資金決済法といったように、普通の弁護士では、あまり触れることのない分野があります。ですので、数多くの案件を対応していると、確かに蓄積されていく知識や経験はあるような気がします。

 

___個人のクライアントで、IT系に絡んだ事案の相談などはありますか?

Webクリエイターなどの個人事業主の方の相談も多いですね。ビジネスとは関係ない個人のクライアントで言えば、匿名掲示板に書き込まれた誹謗中傷関係の相談などが多いです。

 

___ITに関する法律問題について、今後の予想される動向があれば教えてください。

これは、どうしても技術が先に出てくるので仕方ないことなのですが、ITに法律が追いつかないというのは、ずっと変わらないと思います。例えば、自動運転の車が事故を起こしたときに、誰が責任とるのかという問題がニュースで話題になっていますよね。IoTというハードウェアにIT技術を活用していく分野でも、数多くの企業が商品やサービスの開発に情熱を注いでいますが、サービスをスタートしたのに、後から、経済産業省などの省庁から、これダメだとか販売停止を通告されてしまうことは、十分にありうる訳です。

このように、新しい商品やサービスをローンチするときに、行政から止められるようなリスクを防ぎたいのであれば、産業競争力強化法という制度を利用することです。法律を所管している省庁に、商品やサービスの概要と法律の第何条に抵触するのかどうかという質問状を提出すると、それが法に抵触するかしないかを回答してくれるというもので、予防策として有効です。法律の整備が、後追いになるのは仕方のないことですので、そうした行政の相談窓口を利用するといった対応を事前にやっておくことも、重要な対策の一つだと思います。

 

___読者の方にメッセージをお願いします。

私の弁護士としての特徴は、ITと経営をわかった上での法律支援という点にあると思います。法律論だけに終始するのではなくて、経営の流れに合わせてスピーディーに対応し、実際にその問題に対して、どのような解決法があるのかといったアドバイスができるように心がけています。また、個人に対しても、法律はこうですよといった説明だけでなく、クライアントの心情に寄り添って対応していくことを心がけています。

 

 

 

*取材協力弁護士:中野秀俊(なかの ひでとし)弁護士
1984年生まれ。埼玉県出身。城北埼玉高校卒業。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。学習院大学法科大学院修了。大学在学中の2002年に、友人と共にベンチャー企業を設立。その事業の失敗を契機に、弁護士を目指す。グローウィル国際法律事務所 代表弁護士。みらいチャレンジ株式会社 代表取締。SAMURAI INNOVATIONPTE.Ltd(シンガポール法人) CEO。東京弁護士会インターネット法部会会員。著書に「ここをチェック!ここをチェック! ネットビジネスで必ずモメる法律問題」「有利な契約・利用規約を結ぶためのビジネス契約書 つくり方とチェックポイント」(いずれも、日本実業出版社)などがある。

*取材・文:塚本建未(トレーニング・フットネス関連の専門誌や、様々なジャンルのWebメディアを中心に活動するフリーランスライター。編集やイラストも手がける。塚本建未Website 「Jocks and Nerds」)

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*編集部

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