ブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーといえば、3人の養子を含む6人の子供を育て家族を大事にしていることで有名な夫婦でしたが、今年9月、離婚を申請したことが発表されました。また、6人の子供の親権をめぐり争いがあったことも報じられています。
日本でも、子供を持つ夫婦が離婚する場合、子供の親権をどちらが持つかを決めた上で離婚届に記入する必要があります。親権者は子供を養育し、その財産を管理する権利や義務を持つことになります。
現代では8割以上のケースで母親が親権を獲得しており、父母の双方が親権を主張した場合、母親が有利だと言われています。では、父親はなぜ親権を得にくいのでしょうか? 和田金法律事務所の渡邊寛弁護士にお聞きしました。
*取材協力弁護士:渡邊寛(和田金法律事務所代表。2004年弁護士登録。個人事案は子どもいじめ事件から相続争いまで、企業事案は少額の債権回収から渉外買収案件まで、あらゆる案件に携わる。)
■なぜ父親は親権を獲得しにくいのか?
一般的に父親は親権を獲得することが難しいと言われますが、その理由をお教えください。
「親権者は、子供の成長、幸せのために父母どちらに持たせるのがいいか、親の側の事情、子供の側の事情を総合的に比べて決められます。
しかしながら、従前から子供が幼いうちは母性的な養育と愛情が重要であるという、母親優先の考えがあります。現代では家庭の在り方や父母の役割が変化していることもあり乳幼児の母親優先が理由とされることは減っていますが、実際に主に母親が育児を担ってきて、別居時に母親の元に子供がいる状況が多いため、養育の継続性・実績から、母親が親権者となることが多いです。
別居時に母親の元に子供がいると、離婚の際に父親が親権を得るのは相当難しいです。両親を行き来して環境が不安定になるのは子供のために好ましくないこともあり、養育環境に問題がなければ、現状を維持して母親を親権者とする判断がされやすいです。」(渡邊寛弁護士)
■子供が親権者を選ぶことはできないのでしょうか?
「子供の年齢が高くなるにつれて子供の意向が尊重されます。10歳くらいから本人の意思として配慮され、15歳以上になると子供の意向が親権者の判断において大きな要素になります。」(渡邊寛弁護士)
子供の意志も重要ではあるものの、子供の物心がつくまでは育児を担った実績がある親が親権を得やすいのです。家庭において主に収入を得る役割を担うことが多い父親は、必然的に親権獲得が難しくなります。
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