友人や恋人、近親者など親しい関係の中でお金の貸し借りをしたことがある人も多いのではないでしょうか。トラブルなく円滑に返済が終了すればいいですが、トラブルに陥ったり、少額だからと返済を諦めてしまったりした方もいるのではないでしょうか。
また、「言った」「言わない」と口論になることも多いかと思いますが、借用書などを作成せず口約束だけで金銭の貸し借りをした場合、これは法的に有効な「契約」となるのでしょうか?
そこで、今回は口約束は「契約」とみなされるのか、和田金法律事務所の渡邊寛弁護士に伺いました。
*取材協力弁護士:渡邊寛(和田金法律事務所代表。2004年弁護士登録。個人事案は子どもいじめ事件から相続争いまで、企業事案は少額の債権回収から渉外買収案件まで、あらゆる案件に携わる。)
Q.口約束でお金を貸していたが、これは契約として法的に有効?
(1)有効
(2)無効
A.(1)有効
契約とは、当事者間における何らかの申込みと承諾の合意です。申込みが承諾された時点で法的に契約は成立します。借金の場合でも、借用書を作らず口約束だけだったとしても契約は成立し、返済義務と請求権が発生します。
もしこの口約束通りに返済が行われなかった場合は、借用書がなくても請求することが可能です。ただし、裁判で貸金の請求が認められるためには、少なくとも、返す約束をしたこととお金を渡しことの2つを貸した側で証明する必要があります。借り主が認めればいいのですが、借用書がないと借り主が「お金は受け取っていない」「お金は受け取ったけれどもらったものだ」などと主張した場合、請求が難しくなります。
口約束は法的には有効な契約ですが、その契約を証明することが難しいものです。返済方法や期日などの契約内容があいまいだったり、貸し主と借り主で違うことを考えていたりもします。契約内容について取り決め借用書を作成するほうが無難といえます。
*取材協力弁護士: 渡邊寛 (和田金法律事務所代表。2004年弁護士登録。東京築地を拠点に、M&A等の企業法務のほか、個人一般民事事件、刑事事件も扱う。)
*取材・文:フリーライター 岡本まーこ(大学卒業後、様々なアルバイトを経てフリーライターに。裁判傍聴にハマり裁判所に通っていた経験がある。「法廷ライターまーこと裁判所へ行こう!」(エンターブレイン)、「法廷ライターまーこは見た!漫画裁判傍聴記」(かもがわ出版)。)
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*bee / PIXTA(ピクスタ)
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