TBSで現在放映中のドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』で注目を浴びている「契約結婚」。海外では様々な結婚形態があり、日本でも「事実婚」といった結婚観に肯定的な人が増えてきているようです。
「事実婚」を肯定する人の中には、「姓を変えたくない」、「別れてもバツが付かない」「籍を入れることに抵抗がある」といった理由を挙げる人が多いようで、一部ではありますが、法律上の権利が付与されることも事実です。
法的には事実婚のことを「内縁」と呼ぶことが多いのですが、一体、どういった状態を内縁と呼ぶのでしょうか? 同棲していれば内縁とみなされるのでしょうか? 解説していきたいと思います。
■内縁の定義
内縁とは、婚姻はしていないけれど、法律上の夫婦と同様の生活をしている男女関係のことを言います。事実婚とも言われますね。
内縁関係は、結婚に準じる関係として、一定の法律上の保護が与えられています。
ただし、内縁関係と言えるためには、長期間同居生活をしていて、家計も同一であるような関係、すなわち、実態が法律上の夫婦と何ら変わらない関係にある必要があります。
そのため、単に、恋人同士が短期間同居しているに過ぎない場合には、内縁関係とはいえず、法律上の保護を受けることはできません。
法律上の保護を受ける内縁関係であれば、たとえば、夫婦間の貞操義務、婚姻費用分担義務などの規定が準用されますので、内縁関係にある人が、他の異性と不貞行為をした場合には、相手に対する損害賠償義務が発生することになりますし、別居することになった場合には、婚姻費用を請求することもできます。
■財産分与はできるが、相続はできない
また、内縁関係を解消する際には、夫婦が離婚する場合と同様に、相手に対して財産分与を請求することもできます。
しかしながら、内縁関係は、相続には適用されません。
すなわち、法律上の夫婦であれば、配偶者が死亡した場合には、他方配偶者には相続権が認められていますが、内縁関係にある人の一方が死亡した場合であっても、内縁関係の相手には相続権が認められていません。
現在、内縁関係にある方は、将来、パートナーが死亡した場合であっても、その財産を相続することができない、という点にはご注意ください。
*この記事は2014年12月に公開した記事を再編集したものです。
*著者:弁護士 理崎智英(高島総合法律事務所。離婚、男女問題、遺産相続、借金問題(破産、民事再生等)を多数取り扱っている。)
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