「配偶者控除」を巡る法改正…もし年収上限が150万円に引き上げられたら困るのは誰?

来年度の税制改正向け、自民党税制調査会は11月21日に総会を開き、「配偶者控除」制度を含めて本格的な議論をスタートさせました。これまでの経緯としては、「配偶者控除」制度が撤廃されるかどうかに注目が集まっていましたが、結果として撤廃されることはなく、配偶者控除の対象となる年収の上限が引き上げられるに留まる結果となりそうです。

具体的には、現在、配偶者の給与収入が年間で103万円以下の場合に所得税が軽減されるルールとなっていますが、この上限額が103万円から130万円、もしくは150万円へと引き上げられることになりそうです。もし150万円に引き上げられた場合、実はこの改正で損をしてしまう人がいるというのはご存知でしょうか?

Q.「配偶者控除の上限が150万円」に変わったら誰が困る?

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A.「夫の年収が1,120万円以上」の場合、税金の負担額が増えます。

今回の改正では配偶者控除の上限額ばかりが注目されがちですが、実はその一方で夫の所得(年収から経費を差し引いた額)が「900万円」(年収1,120万円)を超える場合、その世帯は配偶者控除の対象から除外される方向で議論が進められているのです。所得900万円というのはかなりの富裕層ではありますが、彼らにとっては今回の税制改正で実質増税になってしまう可能性が非常に高いといえます。

これまでパートなどで扶養の範囲内ギリギリで働いていた主婦の方々にとっては、わずかばかりの恩恵を受ける改正となりそうですが、一方で所得900万円以上の富裕層にとっては配偶者控除から除外され、支払う税金が多くなってしまう結果となりそうですね。

 

 

*取材・文:ライター 松永大輝(個人事務所Ad Libitum代表。早稲田大学教育学部卒。在学中に社労士試験に合格し、大手社労士法人に新卒入社。上場企業からベンチャー企業まで約10社ほどの顧問先を担当。その後、IT系のベンチャー企業にて、採用・労務など人事業務全般を担当。並行して、大手通信教育学校の社労士講座講師として講義サポートやテキスト執筆・校正などにも従事。現在は保有資格(社会保険労務士、AFP、産業カウンセラー)を活かしフリーランスの人事として複数の企業様のサポートをする傍ら、講師、Webライターなど幅広く活動中。

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