■申込みがない「お通し」はどうか?
それでは、お客による申込みがない「お通し」についても、お店との間に契約が成立するのでしょうか。
まず、入店時の説明や看板等で、「お通し」の注文が義務付けられている場合には、入店と同時にお通しについて注文があったことになるので、「お通し」についての具体的な注文はなくても、契約が成立することになります。
そのため、お客としては、注文していないのだから料金を支払わない、ということはできません。
■「お通し」について店側の事前の説明がない場合はどうか?
「お通し」について店側による事前の説明がない場合には、お通しについての客側の申込みというものが存在しませんので、契約が成立しません。
そのため、お客としては、「お通し」が出てきた際は、事前に説明を受けておらず、注文もしていないという理由で、「お通し」の提供を拒否することができます。
■すでに「お通し」を食べてしまった場合はどうか?
「お通し」をすでに食べてしまった場合には、お客としては、店側による「お通し」の提供を承諾したことになり、契約は成立していますので、“代金を返せ”ということはできません。
そのため、もし「お通し」の代金を支払いたくないという場合には、事前に「お通し」の提供を拒否することが必要です。
*この記事は2014年9月に掲載されたものを再編集しています。
*著者:弁護士 理崎智英(高島総合法律事務所。離婚、男女問題、遺産相続、借金問題(破産、民事再生等)を多数取り扱っている。)
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*Graphs / PIXTA(ピクスタ)
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