弁護士が解説!居酒屋で「お通し代」の支払いを断ることは法的に可能?

■申込みがない「お通し」はどうか?

それでは、お客による申込みがない「お通し」についても、お店との間に契約が成立するのでしょうか。

まず、入店時の説明や看板等で、「お通し」の注文が義務付けられている場合には、入店と同時にお通しについて注文があったことになるので、「お通し」についての具体的な注文はなくても、契約が成立することになります。

そのため、お客としては、注文していないのだから料金を支払わない、ということはできません。

 

■「お通し」について店側の事前の説明がない場合はどうか?

「お通し」について店側による事前の説明がない場合には、お通しについての客側の申込みというものが存在しませんので、契約が成立しません。

そのため、お客としては、「お通し」が出てきた際は、事前に説明を受けておらず、注文もしていないという理由で、「お通し」の提供を拒否することができます。

 

■すでに「お通し」を食べてしまった場合はどうか?

「お通し」をすでに食べてしまった場合には、お客としては、店側による「お通し」の提供を承諾したことになり、契約は成立していますので、“代金を返せ”ということはできません。

そのため、もし「お通し」の代金を支払いたくないという場合には、事前に「お通し」の提供を拒否することが必要です。

 

 

*この記事は2014年9月に掲載されたものを再編集しています。

*著者:弁護士 理崎智英(高島総合法律事務所。離婚、男女問題、遺産相続、借金問題(破産、民事再生等)を多数取り扱っている。)

【画像】イメージです

*Graphs / PIXTA(ピクスタ)

【関連記事】

マー君の自宅問題でフジテレビが謝罪…そもそも本人無許可の住居報道は法的にOK?

87歳が運転する軽トラが児童を死傷…増加する認知症高齢者の事故が抱える法的問題とは

【博多駅前陥没】パーキングから車が出せない…駐車料金の支払いは法的にどうなる?

博多の道路陥没で銀行システムにトラブルが…入金が遅れたら責任はどこへ?

女性の足を30分もなめ続けた男が逮捕…「強制わいせつ罪」と「暴行罪」は何が違う?

理崎 智英 りざきともひで

高島総合法律事務所

東京都港区虎ノ門一丁目11番7号 第二文成ビル9階

コメント

コメント