居酒屋に行くと、まずはビールで乾杯、そして「お通し」(関西方面では「突き出し」)をツマミに飲み食いをする方も多いのではないでしょうか。お酒は入店後すぐに提供できますが、料理の提供は少し待ってもらうことになる…。そこで、その間をつなぐための心遣いとして「お通し」を出すことが、日本独自の商習慣として定着していったといわれています。最近では訪日外国人が増加している影響から、この商習慣に驚く海外の方も多いようです。
そんな「お通し」の料金は大体300~500円かかるのが一般的で、中には1,000円を超えるものもあるそうです。そもそも、頼んでもいないのに出てきたものに対して料金を払う必要はあるのでしょうか?
ネットを中心によく議論されているこのテーマですが、今回は、注文をしないのに出てきた「お通し」の代金が発生する法的な根拠はどこにあるのか、また、お客は「お通し」の提供を断ることはできるのかについて説明したいと思います。
■契約の成立には「申込みと承諾」が必要
民法上、契約が成立するためには、「申込みと承諾」が必要となります。
この点、居酒屋などの飲食店では、お客がお酒や食べ物の注文(申込み)をして、店側がそれを承諾することによって、お店がお客に飲食物を提供する、という内容の契約が成立することになります。
次ページ店側の「申込み」がない場合は?
- 1
- 2