ここ最近、某大手広告会社の過労自殺・労働基準法違反のニュースが話題になっていますが、これを受けて上場大手企業を中心に構成されている「経団連」が、会員企業に対して自社社員の過重労働の防止対策を徹底するように要請しました。過重労働対策は今や大手企業にとっても重要な経営課題となりつつある証拠とも言えるでしょう。
さて、この過重労働と切っても切れない関係にあるのが「残業代」です。ここでよく疑問に挙がるのが「年俸制の場合、残業代は出ないのでは?」という点です。実際はどうなのでしょうか。
Q.年俸制だと「残業代」はもらえないって本当?
A.ウソです。月給制だろうと年俸制だろうと残業代の支給には全く関係がありません。
そもそも残業とは、雇用契約書や就業規則で決まった時間をオーバーして働いた事を指すため、契約以上に働いた部分を請求するのは労働者として当然の権利です。
ところが、よく勘違いされやすいのが「年俸制の場合、残業代は出ないのでは…」という点です。これは全くの誤解であり、年俸制と残業代の有無というのは全く関連がありません。
年俸制というと何だかプロフェッショナルな働き方をしているように思えますが、ただ単に給与の決め方が月給制と違うというだけに過ぎません。そのため、契約等で決められた時間以上の残業を行った場合は企業には残業代を支払う義務が、労働者には残業代を受け取る権利がそれぞれ生じるのです。
月給制だろうと年俸制だろうと、残業をすれば残業代が貰えるのは当然のことなのですね。
*取材・文:ライター 松永大輝(個人事務所Ad Libitum代表。早稲田大学教育学部卒。在学中に社労士試験に合格し、大手社労士法人に新卒入社。上場企業からベンチャー企業まで約10社ほどの顧問先を担当。その後、IT系のベンチャー企業にて、採用・労務など人事業務全般を担当。並行して、大手通信教育学校の社労士講座講師として講義サポートやテキスト執筆・校正などにも従事。現在は保有資格(社会保険労務士、AFP、産業カウンセラー)を活かしフリーランスの人事として複数の企業様のサポートをする傍ら、講師、Webライターなど幅広く活動中。
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