■東京五輪の開催に向けたセキュリティ対策の一環
2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催等を控え、万全な情報セキュリティ対策の体制整備が求められている一方で、近年のサイバー攻撃は、件数の増加だけでなく、その対象の広がりや技術の進展により、その被害規模の拡大はすさまじいものがあります。「何とかしなければ…」。この制度新設の背景には、そうした強い危機感があるといえます。
また、高度なセキュリティ技術を持つ、いわゆるホワイトハッカー(高度な知識や技術を持つ者を指す「ハッカー」のうち、技術を善良な目的に活かす者への呼び名)は通常、企業等のセキュリティ関連職に従事していることが多いため、この登録制度を通して、優秀なホワイトハッカーの発掘に繋げたいという期待もあります。
一方、技術者自身にとっても、企業がセキュリティーのプロを待遇面で重用すれば、優秀な人材が支援士の資格取得を目指すという好循環が生まれることも期待されます。
しかし、この制度は企業に義務付けられたものではなく、「資格試験にお金を出してくれる会社は少ないだろう。結局あまり集まらないのではないか」という冷ややかな憶測もささやかれます。「新制度を設置したから終わり」ではなく、いかに推進するか。その実行策が注目されます。
■「情報処理安全確保支援士」となるには
独立行政法人情報処理推進機構(以下「IPA」)が実施する情報処理安全確保支援士試験に合格し、登録をした者が「情報処理安全確保支援士」と名乗ることができます。試験は2017年度以降、4月と10月の年二回実施予定とされています。なお、制度開始から2年間に限り、情報セキュリティスペシャリスト試験、またはテクニカルエンジニア(情報セキュリティ)試験に合格した者も登録を受けられます。
また、情報処理安全確保支援士には、継続的にサイバーセキュリティに関する最新の知識・技能を維持するため、IPAが経済産業大臣の認可を受けて実施する講習を毎年受講することが義務付けられています。
*著者:鉄箸法雄(法情報専門の編集者・ライター。出版社で、長年法律書籍・デジタルコンテンツ等の編集に携わったのちに独立。現在も「全ての人に良質な法情報を」をモットーに活動中)
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*kou / PIXTA(ピクスタ)
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