■問題はモラハラの証拠集め
離婚裁判になったら、夫のモラハラについては離婚を求める妻の側が証拠を提出して立証しなければなりません。しかし、言葉の暴力や態度というのは一過性のものですので、証拠に残しておくことが非常に難しいのが現実です。
それでも、夫がSNSやメールでも妻に対して暴言を吐いていたようなケースでは、それを証拠として提出することができます。妻側としては、SNSやメールの画面を写真やスクリーンショットに撮るなどして、消えないようにしておくことが必要です。
友人や両親などに相談したSNSやメールが残っている場合でも証拠になりえる場合がありますので、やはり写真に撮るなどして残しておくべきです。
■医師の診断書やカルテも重要な証拠に
また、医師の診断書をもらうことやカルテを取り寄せておくことも必要です。診断書には、うつ病を発症した原因について記載してもらえるよう主治医にお願いしておくとよいでしょう。受診の際には、医師に家庭の状況などもきちんと伝えることにより、カルテの受診記録にある程度夫のモラハラが記録されることになります。そのような診断書やカルテは、裁判で証拠として使えることになります。
冒頭にも述べた通り、一方の言葉の暴力に苦しむ配偶者は少なくありません。ですが、いざ離婚、慰謝料請求となっても証拠がない、あるいは足りないために、離婚が思うようにいかなかったり慰謝料をもらえなかったりということも少なくありません。
しかし、ほんの少しの労力である程度の証拠を残すことは可能です。泣き寝入りしないためにも、今、モラハラで苦しんでいる方がいたら、自分のスマートフォンや携帯電話を開いて、証拠になるようなやり取りがないか確認してもらいたいと思います。
*著者:弁護士 寺林智栄(ともえ法律事務所。法テラス、琥珀法律事務所を経て、2014年10月22日、ともえ法律事務所を開業。安心できる日常生活を守るお手伝いをすべく、頑張ります。)
【画像】イメージです
*xiangtao / PIXTA(ピクスタ)
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