■「引用」の場合は許される
著作権者の許可がなくても、コンテンツの利用が例外的に許される場合があります。それが、著作権法上の「引用」(著作権法32条1項)の場合です。
どういった場合に「引用」といえるかについては、著作権法上の規定はありません。しかし判例上では、明瞭区分性と主従関係の2点が判断基準になっています。明瞭区分性とは、自分のコンテンツと他人の著作物を明確に区別するということです。
例えば「他人の著作物部分をきちんとカッコで括る」「出典を明らかにする」といったこと。自分のコンテンツと他者のコンテンツを、一般の読者の人に、分かりやすく伝える必要があります。
主従関係とは、自分のコンテンツと他人の著作物との間で、「質」と「量」ともに、自分のコンテンツが「主」、他人の著作物が「従」という関係にあることが必要です。
これについては、どの程度の分量であれば許されるのか、といった明確な基準はありません。ただ、量的なことでいえば、他人の著作物の引用が全体の半分以上であると、主従関係の要件を満たさない可能性が高くなります。
また最近の判例では、上記2点のポイントのほかに、引用に当たるかの考慮要素として、下記の5項目が総合考慮されなければならないと判示しました(知財高裁平成22年10月13日判決)。
(a)利用の目的
(b)方法
(c)態様
(d)利用される著作物の種類や性質
(e)利用される著作物の著作権者におよぼす影響の有無・程度
このように、著作権法上の「引用」に当たるかは、より複雑な判断が求められています。
■コンテンツを扱う事業者は慎重な判断を
ここまでで解説したように、インターネット上で公開されている情報を全文コピペすることは、著作権法上はアウトです。安易な判断で、他人のコンテンツを使用することは避けるようにしましょう。
*著者:弁護士 中野 秀俊(グローウィル国際法律事務所。弁護士になる前、システム開発・インターネット輸入事業を起業・経営。IT・経営・法律に熟知していることから、IT・インターネット企業の法律問題に特化した弁護士として活動している。ブログ「IT・インターネット法律ブログ」)
【画像】イメージです
*NOBU / PIXTA(ピクスタ)
【関連記事】
*これで安心!身に覚えのない「架空請求メール」が届いた時の4つの対処法
*「ポケGO運転」死亡事故に全国初の実刑判決…「ながらスマホ」の今後を弁護士が解説
*職場で増加するSNSが原因の「不倫冤罪」…誤解されないための法的知識とは
*元女優が「大麻取締法違反」で逮捕!なぜ所持はNGで使用はOKなのか弁護士が解説
*もしも交通違反をしたのに反則金も呼出状も無視し続けたら、どんな罪が待っている?
- 1
- 2