会社によっては休日返上で従業員にオフィス周辺のゴミ拾いを命じたり、ミスを起こした際に社内でマイクを使って謝罪させられたりといった、一見するとおかしな決まりごとがまかり通っていることがあります。
もちろん、従業員は会社に雇われている訳ですから、命じられた仕事は遂行する必要があるのは当然のことですが、このような決まりごと全てに従う義務はあるのでしょうか。
そこで今回は、このような社内ルールに法的に従う必要があるのかどうか判断するために、桜丘法律事務所の大窪和久弁護士にお話を伺いました。
*取材協力弁護士:大窪和久(桜丘法律事務所所属。2003年に弁護士登録を行い、桜丘法律事務所で研鑽をした後、11年間、いわゆる弁護士過疎地域とよばれる場所で仕事を継続。地方では特に離婚、婚約破棄、不倫等の案件を多く取り扱ってきた。これまでの経験を活かし、スムーズで有利な解決を目指す。)
■会社の命令は絶対なのか?
従業員は会社に言われたことは何でも従わなくてはならないのでしょうか?
「従業員は使用者との間に結んだ労働契約に従う必要があります。そして、労働契約を結ぶ場合において、合理的な労働条件が定められている就業規則が周知されている場合には、就業規則が労働契約の内容となります。従業員は会社に言われたことにすべて従う必要はありませんが、就業規則があるのであれば原則としてこれに従わなければならないでしょう。」(大窪弁護士)
つまり、「合理的な労働条件が定められている就業規則」に書かれている内容に関するものであれば、原則として従業員は会社に命じられたことについては従う必要があるということのようです。
ただ、何をもって合理的とするのかは意見が分かれそうなポイントでしょう。
■就業規則に記載がある場合はどうなる?
では、就業規則などに記載があったとして、それが果たして従うべきものなのか、従う必要がないものなのかを判断するポイントはあるのでしょうか?
「就業規則は、法令又は労働協約(労働組合と使用者の間で結ぶ労働条件などに関する取り決め)に反することはできません。例えば、就業規則で無償労働を行うことが定められているような場合には、労働基準法に反するので無効となります。」 (大窪弁護士)
たとえ就業規則に書かれていたとしても、それが法律に違反するような内容のものであれば、どうやらその内容には従う必要はないようです。
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