本日11月3日は「文化の日」です。「自由と平和を愛し、文化をすすめる」ことを趣旨とした祝日ですが、文化的な創作物が持つ知的財産権の保護を目的とした権利のひとつに「著作権」があります。この著作権の範囲の内容を定めた法律に「著作権法」がありますが、今、この法律の改正が検討されていることはご存知でしょうか。
審議されていた環太平洋パートナーシップ協定締結に伴う整備法案(TPP法案)が、今国会で成立する見通しとなりました(11月3日現在、国会で審議中 )。
そのうち柱の1つとなる著作権法の改正は、次の5項目が検討されています。
①著作物、実演等の保護期間の延長(改正案51条、101条など)、
②著作権等侵害罪の一部非親告罪化(改正案123条2項、3項など)、
③アクセスコントロールの回避等に関する措置(改正案2条1項21、113条3項など)
④配信音源の二次使用に対する報酬請求権の付与(改正案95条)
⑤損害賠償に関する規定の見直し(改正案114条4項)
なかでも特に注目しておきたい改正ポイントとなる①②について、ここでは解説していきます。
■音楽・書籍などの保護は死後50年から70年へ
1つめは、作者の死後50年としてきた音楽や書籍の著作権保護期間を、70年に延長するという内容。TPP協定の内容を国内に反映した改正です。
もともと50年と決められている現在でも、著作物を出版や映画化などで利用しようとする場合、権利者(相続人)を探し出して許諾を得ることが事実上困難となる場合があります。
さらに相続人が複数いる(共同相続)場合は、彼ら全員の許諾が必要となり、ハードルはさらに上がります。保護期間が70年になれば、相続人も高齢化して、実際に管理するのが相続人の息子や孫の世代となり、権利者の承諾をスンナリと得られるかどうかもわからず、これらの困難に拍車がかかるのは確実です(映画だけは既に70年になっています)。
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