先祖代々の土地を子供に引き継ぎたい!「遺言書」の基本を弁護士が解説!

■費用はかかるが強い効力をもつ「公正証書遺言」

次に公正証書遺言の説明です。公正証書遺言の場合、自筆証書遺言とは異なり、相続開始後に家庭裁判所で遺言書の存在と内容を確認する手続をとることは不要ですが、財産に応じた費用がかかり証人が2人以上必要です

遺言書には遺産分割方法の指定、各相続人の相続分の指定、相続人廃除やその取り消し、子の認知、後見人指定など多岐に渡る効力があります。特に遺言執行者(遺産を分ける役割の者)を指定しておくと、より強い効力を持つでしょう。

「遺言者は、1人または数人の遺言執行者を指定でき、または遺言執行者の指定を第三者に委託できますが、未成年者や破産者は遺言執行者にはなれません。」(鈴木弁護士)

従って“自宅を長男夫婦に相続させる”などとはっきり遺言書を残し、そこに遺言執行者も指定すれば、全相続人のうち1人(例えばA氏だけ)でも遺言書の内容に全面賛成であれば、遺言書通りに財産を分けなければならないと言えるでしょう。

「遺言内容によっては相続人の利益にならない場合もあるので、遺言を適正に実行するためには相続人以外の弁護士などの専門家に協力を依頼するのが望ましいでしょう。」(鈴木弁護士)

 

■普段から親族関係が円満になるように気を遣うことが大切

親族関係が円満であれば、たとえ遺言書の書類要件に不備があったり、財産の分け方に疑問を持った相続人がいた場合でも、「相続でトラブルになったら亡くなった人(被相続人)に対して悪いな」という気持ちが、お互いに働くことも多いでしょう。

一方、相続させる側としては、どう相続させるか悩み、少しでも気になるところがあれば、生前から弁護士などの専門家に相談しておくことが、転ばぬ先の杖になるでしょう。

 

*取材・文:拝野洋子/はいのようこ(社会保険労務士、ファイナンシャル・プランナー 。はいの事務所代表。大手地方銀行入行後、税理士事務所などに勤務し助成金支給申請、損保代理店業務、行政書士補助等を経験。その後電話年金相談員、労働施策アドバイザーなどを経て、主に個人向けマネー記事等を執筆。『All  About』で出産育児・給付金ガイド、『ココライン』にて子育て・お金アドバイザー、ほか『Woman money』 、『マネーの達人』などに執筆。Yahoo!Kazok「妊娠出産手続き得するお金チェックリスト」、ダイヤモンド・ザイなどの雑誌で監修。HP「気軽に相談!人と保険とお金の情報テラス」、ブログ「家計にやさしい年金保険講座」

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*チータン / PIXTA(ピクスタ)

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