■大麻の使用のみを立証するのは難しい
しかし、大麻の所持は、たとえ自己使用のために短時間所持していた場合であっても罰せられますから、大麻を全く“所持せず”に、大麻を使用することは物理的にほぼ不可能でしょう。
所持している現場が見つからず、警察がきたときには全て使用してしまった場合には、立証ができずに立件されない可能性はありますが、そうはいっても尿から大麻成分が検出された場合には、(不可罰の)使用があったことが裏付けられ、そこから逆算して、所持行為もあったことを立証できる可能性もあります。
したがって、全く大麻を所持せずに、大麻使用だけ合法的に行うことは不可能でしょう。
■なぜ大麻使用は直接禁止されていないのか
大麻の使用が直接禁止されていない理由は諸説ありますが、大麻は古くから麻製品や医薬品としても栽培・利用され、正当目的での産業用利用も多いこと、覚せい剤と比較した場合、錯乱状況や依存状況に陥り、他者加害などの危険性が低いと考えられていること、などが理由です。
さらに、七味唐辛子の麻の実は、もともと陶酔成分がない大麻草の実や茎からつくられたものですし、神社のしめ縄の原材料も大麻草の茎から作られているそうです。
実際、アメリカのいくつかの州やヨーロッパでは、マリファナは趣向品として一定の使用量限度を設けた上で、合法化している地域もあります。
とはいえ、少なくとも日本では、禁制品であることに変わりはなく、覚せい剤と同等の危険性がある違法薬物であることはしっかり認識しておく必要があります。
仮に大麻所持で刑事裁判となった場合、常習的な大麻使用の有無は量刑事情に大きく影響してくることも忘れてはいけません。
*著者:弁護士 星野宏明(星野法律事務所。顧問法務、不動産、太陽光自然エネルギー、中 国法務、農業、不貞による慰謝料、外国人の離婚事件等が専門。)
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*クマサン2000 / PIXTA(ピクスタ)
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