ある特定派遣社員がクライアント都合で突然クビになり精神疾患に…取るべき法的な行動は?

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派遣には、派遣元の会社に登録して希望の仕事に応募する登録型派遣と、社員として派遣元に雇用され別の仕事場に派遣される常用型派遣があります。一般的に後者のみを取り扱う派遣の形態を、特定派遣と呼んでいます。

この特定派遣社員として働いていた方が、クライアントの都合で突然の仕事打ち切りで精神疾患になってしまったというケースが、ある悩み相談のネット掲示板で盛り上がっていました。

そこで、仕事の打ち切りによって精神疾患になった場合の法的な対処法について、労働問題に詳しいピープルズ法律事務所の森川文人弁護士にお話を伺ってみました。

*取材協力弁護士:森川文人(ピープルズ法律事務所。弁護士歴25年。いわゆる街弁として幅広く業務を経験。離婚、遺産相続をはじめ、不動産、 慰謝料・損害賠償請求、近隣トラブル、借地借家、賃金、インターネット問題、知的財産権などを扱う。)

■因果関係を証明するものを準備する

特定派遣社員が派遣先の都合で、突然の仕事打ち切りとなって、精神疾患になってしまったというケースでは、どのような法的な行動をとるべきか教えてください。

「本来、特定派遣社員であれば、クライアント(派遣先)の都合で仕事が打ち切られても、派遣元との雇用契約はなくならないはずです。しかし“仕事打ち切り”状態で精神疾患ということであれば、まず、“仕事打ち切り”と精神疾患との因果関係を証明する必要があります。このような因果関係を証明するものとして具体的に考えられるものは、医者の診断書や陳述書などがあります。

実際に、企業を訴える場合は、これら証明となる書類を準備した上で、慰謝料請求等の損害賠償請求ということになると思います。ただし、派遣社員の場合、通常は請求先が派遣元になると思います。その場合、“仕事打ち切り”をした主体は派遣先ということになると思いますので、責任の立証が課題になるでしょう。」(森川弁護士)

特定派遣は、一見すると登録型派遣よりも安定しているように感じる方も多いかと思います。しかし、実態は「名ばかり正社員」で、派遣先と派遣元の間で板挟みになって悪質な労働環境に苦しんでいる雇用者もおり、社会問題となっています。

精神疾患になってしまった場合の損害は、その後の人生を含めて非常に大きなトラウマになってしまう可能性があり、こうした問題が起きた場合の責任の所在は、契約の際にも、きちんと確認しておくことが重要でしょう。

 

*取材・文:塚本建未(トレーニング・フットネス関連の専門誌や、様々なジャンルのWebメディアを中心に活動するフリーランスライター。編集やイラストも手がける。塚本建未Website 「Jocks and Nerds」)

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