10月25日、元女優の高樹沙耶容疑者が、自宅から乾燥大麻、パイプなどを押収され、同居の男性2人とともに「大麻取締法違反」の疑いで、厚生労働省関東信越厚生局麻薬取締部に現行犯逮捕されました。
高樹容疑者が今年6月の参院選に出馬した際には、国内で禁止されている医療大麻の解禁を訴えていたことも記憶に新しいところです。実は、大麻を取り締まる「大麻取締法」という法律では、大麻の所持は違法となりますが、使用については罰則なしという、不思議な法律なのです。
今回は、この「大麻取締法」の成り立ちとともに、実際に想定される法的リスクについて解説したいと思います。
■大麻の使用のみであれば違法でない
覚せい剤と並ぶ薬物犯罪の代表例が大麻です。外国ではマリファナとしても知られているところです。
覚せい剤は、「覚せい剤取締法」で、所持、譲り受け、譲り渡しだけでなく、覚せい剤の自己使用についても当然罰則があり、10年以下の懲役と使用罪に非常に重い法定刑が用意されています。
他方、これが大麻になると、「大麻取締法」では、所持、譲り受け、譲り渡しについては罰則があり、5年以下の懲役(営利目的の場合は7年以下の懲役)となりますが、大麻の使用罪は、「大麻取締法」では規定がありません。
日本では罪刑法定主義といって、刑罰法規で禁止されていない行為を、類推適用などによって罰することは憲法上できないので、「大麻取締法」やその他の法令で大麻使用が禁止されていない以上、大麻の使用だけであれば、罪には問われないということになります。
大麻の所持は違法となり、使用のみなら違法ではないなどとよく言われるのは、この理由から間違ってはいません。
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